介護療養型病院というものがある。ホームページを見ると医療介護の統合と言った理想的な事が書いてあるが、実態はどうもちょっと違うようだ。慢性的に人手不足で、医師の労働環境は厳しいものらしい。二百床の病院で常勤医が五名以下となれば推して知るべしで、月に六七回当直であんまり家に帰れませんと聞くと「先生、大丈夫ですか」と声を掛けたくなる。病院の性質に加え経営があるからできるだけ介護度の重い患者を受け入れている。そのため判定会議というものがあって、入院の可否を決めている。介護度Ⅲ以下では入院は難しいと言われる。生活保護も受け入れていないと言う。数年前までは何十人も希望者がいて何か月待ちの状態のようだったが、最近は競合施設ができ数週間待ちになり、事務長は遠慮なく相談してくださいと言われる。
入院してくるのは病院で治療の限界を迎えた高齢者や家庭で診られない慢性の寝たきりの患者さんで、二百人の入院患者が居て歩いて帰れた患者さんは五年に一人くらいと聞いた。言葉の綾と言っては言い過ぎかもしれないが、そうした病院で院長が披瀝する前向き使命感に溢れた言葉は半ば本心だろうが、長としての立場から責務を果たそうとして生まれたものにも感じる。