駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

今其処にある危機

2014年11月30日 | 世の中

            

 私のような内科医臨床医でさえ、日本経済の病気が重症なのはわかる。それは医師でない、一般人でも重症の病人を見れば、なんだか病気がありそう、医者に診て貰った方がいいと思うのに似ている。

 ただ日本経済の病気は個人商店と違い、図体が大きく検査データを多少は読みこなさないとわかりにくい。素人の私には一般人向けの経済書を読んでも、日本は大変な赤字を抱えており、国民一人あたり一千万円近い借金があり、返済の目処が付かないどころか、更に増えつつあるということぐらいしかわからない。しかしいかな素人でもそんな借金が増え続ければ、近い将来破産する恐れがあると気が付く。

 どうしてこんなに借金が膨らんだかというと国家予算が歳入に比して巨額すぎるからだ。収入の倍の支出を二十年以上していらどうなるか、個人であれば数年で自己破産になるのだが、国の場合は取り立て人がひ弱く、辛気くさいことを言うな引っ込めと政治家と国民に怒られ泣き寝入りしてきた。いずれお前ではだめだと、閻魔大王がお出ましになるだろう。お札を地獄の釜の焚き付けに使うようなことになってはそれこそ生き地獄だ。

 なんでこんなに歳入に見合わぬ歳出をしてきたかというと、甘えというか依存というか、国に頼りすぎてきた?ためのように思える。打ち出の小槌もいつかは枯渇するという不都合な真実を暴くことは御法度とされてきた。見ぬ振りをすれば、不都合がなくなるわけではない。赤信号みんなで渡れば恐くないという考え方を止めないと、車に轢かれて大怪我、運が悪ければ死んでしまう。みんな一緒だから死んでもいい、本当?、嘘でしょ。

 安倍首相が本当に経済の再生を最重要とするのなら、解散をせずこの圧倒的な与党勢力を利用してどんなに不人気であっても消費税を着々と上げて、借金地獄から抜け出す算段をすべきなのだ。それが、衣の裏に「日本を取り戻そう・・」という野心があるために、長期政権を狙って不意打ち選挙に出てしまった。

 あなたの過去など知りたくないというのは一つの智慧かもしれないが、行く手の奈落を知りたくないのは智慧が足りないのではないか。奈落は近づけば近づくほど避けにくくなる。その頃には自分はもう居ない、あるいはもう呆けているという人に、今其処にある危機への対応を任せない方がいいと思うのだが。

コメント
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