駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

晒しの仕事

2014年11月02日 | 贔屓

                 

  晒しの仕事という言い方がある。ご近所にKという懐石料理の店がある。雛には希なきちんとした仕事をした東京京都の名店に引けを取らない料理を出す。お値段は地方としては高いけれども、食べてみれば決して高くはない。

 私は贔屓にしているのだが、残念なことに繁盛しているとは言えない。なんとなくその理由がわかる。

 女将さんは綺麗な人で誠実なのだが、ちょっと素人っぽく上手にお追従が言えない。大将も美丈夫で帰り際、いつも「ありがとうございました」と挨拶をされるが口が重い人だ。いつだったか女将さんにカウンターはやらないのと聞いたら、宅は晒しの仕事が苦手でということだった。

 料理人は料理が全てのようで、そうでもないのだ。人間それも男(多分女も)は上手な褒め言葉が好きなのだ。まあ褒めなくても客と相対する仕事では相手の気質や気分を理解してさりげなく言葉を掛ける力が求められる。勿論、朴訥でいい、構わないで欲しいというお客も居るだろうが、それは少数だと思う。

 だから意外な?ことだが、料理人と同じくらい女将やマダムは重要な存在だと指摘したい。そして夫婦連れには将を射んとすれば馬をということになる。

 医者も晒しの仕事という点では共通している。自分もKの大将に同じで晒しの仕事に向いているとは思わないが、幸い内科医は話すことよりも上手に聞く事の方が大切なようだ。

コメント (2)
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