今日も雨、それも本降りだ。十一月にこんなに雨が降るのは珍しい。田畑に恵みの雨とはいうが、これでは多過ぎる。干ばつの地域に送ることはできないものか。火星に人を送ろうという計画がある時代でも、まだ難しいようだ。
「お忙しいですか」とよく患者さんに聞く。大坂とは違うので「ぼちぼち」と答える人は殆ど居ない。
「いやあ、忙しいです」と言う人には「暇よりはいいですね」と慰めとも何ともつかない返事をすることがある。しかし、忙し過ぎるのは、どうも良くない。忙し過ぎると、どうしても間違いが増える、苛々して怒りっぽくなってしまう。医院では医師看護師事務と仕事の分担が別れているのだが、境界領域という物がある。忙しくなければ境界領域の仕事はお互いが喜んでやるのだが、忙しくなってくると、美しくない譲り合いが起きて芳しくない。
患者さんも次は私と、呼んでもいないのに前の患者さんが出て行くと診察室に入ってきたりして迷惑をする。患者さんは出て行っても、カルテを書き終わっていないことはしばしばある。中には次の次だったりする人も居る。例に挙げて申し訳ないが鈴木、田中、佐藤、杉山など多い名字だと並んでいて、慌て者の方が入ってきて遠慮っぽい方が浮した腰をまた下ろしたりする。出来るだけフルネームで呼ぶようにしているが、あまりに忙しいと、名字だけ呼んでしまうこともある。それに名字は読めても名前には読みにくい名前もあるのだ。
と言うわけで忙しいのは良いが忙し過ぎるのは良くない。尤も、暇過ぎるのはもっと良くないかも知れない。小人も多いようだし。