駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

講評を聞く

2010年12月01日 | 身辺記

 当院の決算は九月で、先日今期の収支報告が出来上がった。
 依頼している会計事務所は手広く各業界を扱い、医療関係も県内百軒近くを手掛けている大きな所だ。若い副社長はなかなか優秀な人で年に一回現れ、売り上げや患者数のグラフを見ながらあれこれ説明してくれる。
 ただ医院は普通の中小企業と違い、統制経営と言うか診察料から検査料金まで法定一律で、大売り出しや新企画などないので、あーなるほど厚労省の意図通りあれこれ変わってきましたねでお仕舞いになる。勿論、厚労省の思惑以外に社会全体の景気や傾向の影響もあるが、それも受け身の仕事なので此処は受診抑制の影響ですかね程度の言及に終わる。
 患者心理というか人間心理は外見で影響されるから、鉄筋コンクリート二階建てで駐車場25台などにすると、患者さんが多少増えることはあるらしいが、それ以外は評判つまり口コミがすべての仕事なので、決算が良いから悪いからで特別診療方法が変わるわけではない。
 この五六年、収益の長期低落傾向が認められますが、ほんの僅かですし患者数はほぼ横ばいなので、良く健闘しておられますとお褒めだか何だかの言葉で講評は終わった。
 収益が微減したのは人件費が少し上がった(昇給と臨時職員増員、院長昇給無し)のと、材料費の値上がりによるものでやむを得ない。医業収入が増えていないのは、厚労省が開業医の医療費を抑制しているからだ。いいえ0.5-6%だか上げましたと反論してくるだろうが、実際には請求できない診療料を上げて貰っても絵に描いた餅だ。
 折角色々分析して説明してもはあはあというばかりの経営者?では副社長も力が入らなかったろう。
 医院の経営で一番大切なのは楽しく働ける職場を作ることだと思っている。不愉快な職場では患者さんに優しく対応できない。医院の収益はほとんど厚労省の差配で決まるし、利潤を追求しているわけではないので、経営収支は赤字でなければ良いという感覚になっている。要するに患者さんを診る以外の能はないのだ

コメント
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