この時期に玉川上水を歩くと多数の白い花を下向きにつけたエゴノキが目に飛び込んでくる。突然咲き始める白い花によってその存在に気付きエゴノキの数の多さに驚くことになる。そして落花が始まるとそこだけ雪が降ったかのように白一色となる。和名は果実の味がえぐいことに由来する。ゾウムシが果実に穴をあけて産卵しその幼虫は川釣りの釣り餌になるそうだ。ヤマガラの好物でヤマガラはエゴの実を一旦地中に埋めてから再び掘り出して食べるという。
囲碁の井山祐太九段は昨年も獲得賞金ランキング1位である。そして昨年は生まれが同年同月同日の将棋の女流棋士とその誕生日に結婚式を挙げた。この3月中旬に囲碁界では大きなできごとがあった。挑戦者の井山九段が棋聖戦(賞金4200万)の第6局で張栩棋聖を4勝2敗で破り史上初の6冠を達成したのである。報道陣がなだれ込んで対局場は熱気に包まれた。囲碁の七大タイトルのうち現在は名人のタイトルを手放しているだけである。ところが4月下旬に同じ関西総本部の結城聡九段に2勝3敗で十段のタイトルを奪われて5冠に後退した。その直前に結城九段にはNHK杯選手権(賞金500万)の決勝戦でも敗れた。
5月13日には「井山6冠達成祝賀パーティー」が大阪のホテルで開かれた。「海賊とよばれた男」で2013年の本屋大賞の百田尚樹氏が特別ゲストとしてトークショーに登場し、井山との軽妙なトークに会場は大いに盛り上がったという。休む間もなく5月16日から本因坊戦が始まった。さすがの天才棋士も疲れがたまりタイトルを手放していく事態になることもあり得る。とくに結城九段に敗れた最近の2局の印象がまだ記憶に新しい。さて今度の本因坊戦の挑戦者は一回り年長の高尾伸治九段である。リーグ戦を7戦全勝で挑戦者となり最近の調子はよい。
私は09年から始まったという高尾九段のブログのファンである。ブログ「たかお日記」には自分の対局のポイント解説があり興味深い。囲碁界屈指の競馬好きとして知られ、競走馬の一口馬主でもある。亡き師匠の藤沢秀行の生き方とかさなるところが多い。04年に慶応大学囲碁女子部主将を務めたアマ女流と結婚している。困ったことに私はこの二人の対局者のどちらの勝利を願っているのか自分でもわからない。島根県太田市で行われた第一局は井山本因坊の4目半勝ちという結果だった。高尾九段はブログに「七番勝負を打つのはこれが最後と思って必死に打つ」と書いていた。第二局は5月28日に福岡県北九州で行われる。(写真は駒場公園の旧前田侯爵邸にて)
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