早咲きのカワヅサクラが桃色に満開だ。梅の木の下は落花で敷きつめられた。沈丁花が甘酸っぱい香りを漂わせている。淡黄色の多くの花をつけて房状に垂れ下がるキブシと多く白くつぼ状の花をつけるアセビは両者ともこの時期によく目立つ。冬の寒さと夏の暑さの区切りの春の彼岸に咲く花はシュンランで、秋の彼岸に咲く花はヒガンバナだ。シュンランは玉川上水に昔から自生している野草である。ヒガンバナは昔は玉川上水にはなかったという。地味で清楚な姿をしているシュンランは、ヒガンバナと違い持ち去る人が多く、絶滅が心配されるほど少なくなっているという。
昨年の暮れに体調を崩して、日々の食事への関心が高まった。この一月に市の健康センターが主催する「男の健康教室」に参加した。この種の市の催しに参加するのは初めてだ。これは二週間に一度三回開催されて時間は各回とも2時間半だ。一回目は運動編で、二回目は栄養講話と調理実習、三回目は足指力の再測定や調理実習だった。調理実習は大いに役立った。二回目の調理実習の献立は主食がご飯、汁物は根菜たっぷりみそ汁、主菜は豚肉の生姜焼き、副菜はほうれん草の海苔和えだった。一汁二菜について学ぶ。
とくに「根菜たっぷりのみそ汁」に私は目覚めた。みそ汁の具はじゃが芋、大根、人参、ごぼう、ぶなしめじ、油あげだった。みそ汁の具は二種類程度という呪縛から解き放たれて、あれ以来私の朝食にはこの具だくさんみそ汁が欠かせない。三回目の献立は主食が豆ご飯、汁物はのりの吸い物(焼き海苔)、主菜は焼き大根とサバ缶(水煮)の煮物、副菜は山芋のきんぴらだった。1.5cmに輪切りした大根をさらに半分(半月切り)にして「だし大根」を作る。大根の水気をとりフライパンで両面を焼き色がつくまで焼くのが焼き大根だった。
その後この三月には同様な内容の「こだいら健康塾(二回)」という催しに参加した。なぜか69歳以下という条件がついていた。当日に出向いて参加者のほとんどが女性であることに驚く。そして前回は「男の」であったことにやっと気付いた。このときの献立は主食が雑穀ご飯、汁物はうどのすまし汁、主菜が鶏肉と春野菜のホイル焼き、副菜はひじきと温野菜のサラダだった。調理場で試食して片付けたあと解散となる。普段の自宅での昼食より豊かな献立で、しかも参加費は無料だから、多くの参加者が満足したようだ。ところで最近とても心を痛めていることがある。それは友人が電話で「なにを食べてもおいしくない。すぐ疲れてしまって横になってばかり」と話していたことである。(順にシュンラン、アズマイチゲ、アマナ、クサボケいずれも3月23日)