今年は郵便受けに第50回津田塾祭のチラシが入りました。玉川上水沿いに家から歩いて15分のところにある津田塾大学の学園祭です。作家で翻訳家の松本侑子氏の 「赤毛のアンの秘密~西洋文化の基礎を知ろう!~」 と題する記念講演が予告されていました。顔写真があったので、昨年のNHK教育テレビの 「赤毛のアンへの旅」 という番組の講師の方だとすぐに分かりました。その番組で女優の松坂慶子さんと二人並んだテレビ画面を私はよく覗き見していたものでした。
学園祭の3日前に立ち寄った図書館の新刊本コーナーで見たのが 「恋の蛍~山崎富栄と太宰治~」 でした。つい最近の10月25日発売本です。著者名には松本侑子とあり一瞬目を疑いましたが、奥付けの著者紹介に赤毛のアンの文字があり間違いなくあの方です。太宰との取り合わせに驚きましたが太宰生誕百年ということで持ち込まれた仕事なのでしょう。あとがきに人間愛と誠意をもって富栄の名誉回復に努めてきた太宰文学研究会からも、多くを教わったとあります。また本書は富栄の小説であるが、本当の主人公は父の山崎晴弘だったかもしれないと感じていると書いています。
うかつにも開始時間を30分勘違いしていたので講演に少し遅れてしまいました。会場の机の上には資料としてチラシが置かれてありました。思ったより空席が目立ちます。赤毛のアン翻訳書、解説書など全9冊の本を紹介したもの、旅行社発行の松本侑子と行くプリンスエドワード島ツアー申込書、新刊本 「恋の蛍」 の紹介および12月20日三鷹での松本侑子による 「ヴィヨンの妻と山崎富栄」 と題する講演会の案内の3枚のチラシです。赤毛のアンの翻訳本は英米文学からの引用を解き明かした訳注つき全文訳というのがうたい文句です。不幸にも私は赤毛のアンを読んだことがありません。登場人物が孤児と老いた独身兄妹だということを知りました。マシューは12使徒のマタイ、マリラは聖母マリア、アンはマリアの母アンナからきているようです。聖家族ということでしょうか。
モンゴメリによるシェクスピア作品等からの引用について松本氏はその出典探しに没頭したようです。それは引用技法と呼ばれ、この世には引用句辞典も存在していると寛大です。自分の翻訳本の会話部分を少女の声色で朗読しました。スコットランド民謡をバックに旅の写真のスライドショーもありました。終了後質疑応答はなく、書籍販売が始まりましたが私は何も買わずに出ました。チラシによると松本氏と行くツアーは来年6月3日出発で5泊7日で費用は40万とありました。講演会の翌日パソコンでいろいろ調べてみました。松本氏は1963年出雲市生まれ。85年テレビ朝日ニュースステーションの初代天気予報担当キャスター、88年作家活動に専念とあります。当然のことですがパソコン情報の読み方は本人に会う前と後では行間の読みが変わります。
『恋の蛍 山崎富栄と太宰治』は、3年前から取材と調査をはじめた小説です。私は太宰文学を、中学時代から愛読しておりまして、デビュー小説『巨食症の明けない夜明け』にも、太宰の『人間失格』の文章を引用しました。
『恋の蛍』、お近くの図書館にて、どうぞご笑覧いただけましたら幸いでございます。
今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。
お孫さん達のためにも、少年の心を持った殿方達にも読んでいただきたい。私はアンに魅せられてカナダに渡った日本少女集団の”ハシリ”かな? 捨て猫さんのメールにこちらの日系新聞に載った「村岡花子の生涯 村岡恵理著」の私の書評を添付します。 遠くてかなわぬことですが、津田塾大での講演会に行ってみたかったですね。
思いがけないことでして、喜び驚きそして自分の不勉強に冷や汗が出て家人の傍らでしばしおろおろしていました。探究心旺盛なお仕事振りに刺激を受けました。感謝申し上げます。「恋の蛍」は図書館の本にはマークや書き込みができませんので購入いたします。とりあえずこの一冊を気合を入れて読むことにしました。
トロントの園枝さん、添付の書評を読みました。
松本さんも講演で一言村岡花子さんのことを話しておられました。私はその名さえ知らずにいたのです。