大相撲夏場所が終わった。7度目の優勝を果たした照ノ富士は土俵下の優勝インタビューで「やっと終わったな、っていう感じ」と本音を漏らした。おらが郷土の西前頭13枚目の明生は14日目にやっと勝ち越しを決めて8勝7敗に終わった。どの力士にとっても勝ち越で場所を終えることだけでも大変なことだと思う。
番付を下げた明生の今場所は「大勝ちして優勝をかっさらうんじゃないかという人もいましたね」と北の富士(80歳)さんは明生が前半3連敗した頃に解説していた。明生に対する北の富士さんの評価は「コツコツ努力するタイプ」とそれほど高くはない。明生は番付運にも恵まれて関脇まで昇進した。(センダンの木)
両者とも故人だが丸谷才一と山崎正和の1986年の対談 「藝能としての相撲」を読んだ。「暴飲暴食をしてぐんぐん太るなんて肉体まで様式化してしまう藝というのは他にはちょっとない」「相撲をやめた後の相撲取りというのは憐れな感じがする。たいていの人は声帯までつぶしていますよね」「バレリーナも声がつぶれるんです。肉体を極端に酷使すると咽喉をやられるんです」
「例外はいます。今の九重親方、もとの北の富士ですが、なかなかハイカラな紳士でね、ものの言い方も知的だし、眼鏡も洋服もよく似合う」「日本文化はスポーツの乏しい文化だった。相撲はめずらしい例外であって、しかも相撲には半分以上神事的な性格が入っている」「しこ名に実名をなぜつけたがるかというと、自分はスポーツマンだという意識だと思う。いま気に入っている寺尾は〈桜島〉という名前にしてくれ思っているんだけれど(笑)」
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