玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*2冊の禅の本①

2023年03月09日 | 捨て猫の独り言

 リサイクル図書の中から、高橋新吉(1901~1987)「禅に習う」と柳田聖山(1922~2006)「未来からの禅」を持ち帰って読んだ。二人とも私が初めて知る名である。この2冊により、彫刻家平櫛田中と「禅」との関わりがより明確に分かった。思いがけない収穫に喜んでいる。(2月22日・小金井公園梅林にて)

  

 小平市名誉市民である彫刻家・平櫛田中は1898年(明治31)に谷中の長安寺で臨済禅の西山禾山(かさん)の話を聞き影響を受ける。禾山は仏教の教えを自分の体験を盛りこんでやさしく説いて、多くの人が参禅にかけつけたという。田中には、椅子に腰かけ両ひじをはって後ろにのけぞりながら大口を開けて大笑いするポーズの「禾山笑」という作品がある。

 高橋新吉は禾山と同じ愛媛県出身だ。日本のダダイスト詩人で、若い頃の性急なダダから次第に禅仏教に興味を向ける。「留守と言え、ここには誰も居らぬと言え、五億年経ったら帰ってくる」という「るす」という詩がある。五億年というのは弥勒菩薩が地上に現れるまでの期間をさす。

 愛媛県の八幡浜市にある福高寺には、「禾山和尚生誕の碑」、平櫛田中の「禾山一笑万法空」の碑と、高橋新吉の「詩碑」があるという。田中が影響を受けたもう一人が日本近代美術界の救世主の岡倉天心だ。天心は「茶の本」で東洋の世界観、自然観を世界に紹介した。茶も禅文化の一つだ。

 

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