庭の木々はすっかり葉を落とし、ヒガンバナ科のネリネの薄紅の花が風にゆれている。再び五木寛之と釈徹宗の「70歳!人と社会の老いの作法」を別の角度から取り上げてみる。興味深く読んだのは「神道と仏教」であり、ほとんど釈氏の解説の要約となった。(ネリネ)
釈氏は宗教学者であり、浄土真宗の住職でもある。「日本各地にあった地域共同体の宗教が、仏教の来訪によって刺激を受けて整備されて神道が生れた。そういう意味では仏教と神道は双子状態から歩み始めたと言えます」
「情緒的な存在と理性的な存在との組み合わせが、なぜか日本人の宗教心にぴったり合うのです。どちらにも重心があって、主ー従や中心ー周縁の構図でもなく支配と被支配でもない。二つの中心を持つ楕円構造です」
「日本の場合、例の<西に落ちる夕日と、帰る世界>という日本に古来からあった宗教的心性と見事にフイットしたのが浄土教だったのではないか。それで日本仏教ともいうべき情緒連綿たるウエットな仏教が発達した。聞いたところによると、こんなに夕日を愛する文化圏はなかなかないそうですよ」