永田和宏の著書の中で、日常の歌を詠んだ例として霧島市の久野茂樹さんの朝日歌壇投稿の歌が紹介されていた。「両耳を洗濯ばさみで留められてミッキー干さるる冬のベランダ」最近になって気づいた。久野さんは俳句も投稿されている。
最近の俳句「ままごとの一人二役小鳥くる」<評>人数が足りなくても子どもは工夫して遊ぶのだ。小鳥まで仲間に加えそう。久野さんの年齢は70歳前半か。これまた最近気づいたのが、同じ霧島市に秋野三歩さんという投稿者がいる。「見事なる弓張月の窪みなる誰の作なりや売家の砥石」
秋野さんも久野さん同様に俳壇にも登場している。お二人は交流があるだろうというのが私の推測だ。永田和宏は作歌について「日常にある当たり前のものでも、意味や役割を外して見ることで何か発見できることがあるはずです」と教える。(ハヤトウリ)
郷土の歌人たち三人目は垂水市の岩元秀人さんだ。抒情溢れる作品が多い。最近は絶好調だ。「ブレーキは夢の中にもかかりいてその先をまた君は言わない」「美しき角度というものクレーンにもありて炎天その六十度」「中ゆびと親ゆびに食む秋の日のアップルパイがさよならを言う」ただ感嘆するのみ。