雨上がりの日曜の朝、孫と一緒に頭上の巣箱を捜しながら緑道を散歩した。下の孫は負傷した方の左腕を三角巾で吊るして肩にかけている。昨日の土曜日に自転車で転んで左手首の骨折の疑いがあった。学校は休まずに月曜の放課後にレントゲン検査を受ける予定だった。散歩することでみんなの気が紛れた。ついでに立ち寄った図書館では負傷した孫が選んだカバやカタツムリなどの動物の絵本を3冊借りた。
私は大活字本の「お天気博士の気象ノート」の(上)を1冊だけ借りた。30年前に出版された本である。その中に「雨降り花」というのがあり「梅雨の晴れ間の小道を歩くと、草取りをした人が、雑草と花とを区別した形跡が見られる。無残に引き抜かれているのは、ヒメジョオン。ツユクサはどちらかといえば残される方だが、ドクダミは半々。ホタルブクロは咲いていれば確実に残されるだろう。
ホタルブクロはアメフリバナとも呼ばれる。この花を摘むと雨が降るというのである。日本植物方言集によればアメフリバナと呼ばれる草花には、ほかにギボウシ、ヒルガオ、シロツメグサなどがある。梅雨時から真夏にかけて咲くこれらの草花は、人々の記憶の中に、雨とともに残ることが多かったのであろう」とあった。つぎの項目は「草木塔」だった。こころがなごむ本である。
事故が起きたのは陽射しが強い土曜日の午前だった。私が先頭で、下の孫を上の孫と挟んで三台の自転車で5キロ離れた小金井公園をめざしていた。玉川上水沿いに道路の半分だけを変則にアスファルト舗装したサイクリングコースである。舗装部分を踏み外して、そのわずかな段差の衝撃で転倒したようだ。月曜の夕方に孫の伯父のクリニックでレントゲン検査をしたが骨折線は発見されず、強い圧力による捻挫と診断された。骨折寸前だったということだ。