玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*勝ち敗けを超えて

2011年06月13日 | 捨て猫の独り言

 植物は本当に律儀だ。毎年決まってその時期になるとつぎからつぎに順序良く花や実をつける。梅雨の今はアジサイ、ホタルブクロ、ムラサキシキブが目立つ。昨年から私の視野に入ってきたのはネジバナ、オカトラノオなどだ。さらに今年は桑の木の枝に手を伸ばして桑の実を食べることを覚えた。黒く熟れた桑の実を口に含むと昔に戻れたような幸せな気分になる。

 5月27日の朝日新聞の「ひと」欄に紹介されたのは、史上最高年齢で世界アマ囲碁選手権戦に臨む84歳の平田博則さんだった。食事は三度きちっととり、毎日のように庭に出て雑草をむしる。あとは囲碁の本をちらっと見るくらいという生活で、驚異的な選手生命を維持している。囲碁は感覚的なものが重要で芸術に近い。底が知れない面白さが魅力と語っている。

 選手権戦は5月29日に松江市で開かれた。1日に2局を戦い4日連続で8局打たねばならない。2日め平田さんは3局目のノルウェー戦に思わぬ敗戦を喫する。ほとんど勝っていた碁にうっかりミスが出てその瞬間の敗北である。相手のノルウェーの選手はまず平田さんのミスに驚いたという。そして平田さんには申し訳ないと思っていますと語っている。しかしその後は崩れることなく4連勝し、8局目で優勝した中国の選手に敗れ、6勝2敗の5位という成績だった。

 8戦全勝で優勝した中国の選手はプロを目指しているという18歳だ。一番印象に残った対戦相手は平田さんです。84歳という高齢なのに碁の内容が素晴らしくて若々しいからですと、はにかみながら答えていた。平田さんは大会を振り返って健康面では悪くなかったが碁の内容はイマイチだったと答えている。プロの世界では久々の朗報があった。井山祐太名人が5月18日に中国の重慶で開催された日本、中国、韓国の一流棋士3人による大会で優勝を飾ったのである。囲碁世界3強国間における日本の巻き返しを期待したい。

コメント
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