第8回ということですからこれまで見逃していました。ブックリサイクルというのがあることを初めて知りました。市立図書館が3回に分けて一般書・文学書や雑誌や児童書の古書を放出するのです。古いバーコードの上に新しく 「リサイクル資料」 という緑のシールが張られて、そこには 「不用の場合はカバーのかかった表紙は燃えるごみ、本体は資源ごみに出してください」 と書かれています。
雑誌放出日の朝10時に最寄の図書館に急ぎました。程よい混雑ぶりです。狙いは定めてありました。月刊誌NHK短歌です。06年の1月号から12月号の12冊を手に入れることができました。あまり読まれないのかほとんど汚れはありません。この年の1月号には前登志夫の随筆の第34回が掲載されていて、4月号からは前登志夫選の巻頭秀歌が開始されています。巻頭秀歌は12首ありそれぞれに選者による歌意(解説)が付きます。これがとても興味深いのです。1年後07年の12冊も容易に手に入れることができそうです。
私は短歌には興味が湧きますがなぜか俳句はそれほどでもありません。俳人の長谷川櫂氏が読売新聞に詩歌コラム 「四季」 を連載中です。2月28日に前登志夫の歌を取り上げていました。「神すらや人を恋ほしみ乱れけりやさしきひとの在りし日のこと」 ≪かって神でさえ思い乱れるほどの優しい乙女がいたというのだ。この人には神々の時代も地続きだった。最晩年の一首≫とありました。思い入れたっぷりに私はこの歌が好きになりました。
この日曜日は一歩も家の外に出ることなく過ごしてしまいました。午前中はNHK短歌12冊を引っ張り出して随筆 「羽化堂から」 を全部読みました。1月号は 「老いの光を」 と題していきなり 「血を吐いた。山の紅葉が木枯らしに飛び散る日だった。」 と衝撃的な言葉で始まっています。入院中に病床で書いたと思われる記事です。ところが驚異的な回復があったのか次号からは病気のことなど感じさせないものでした。午後はNHK杯囲碁を2時間見て引き続き道元正法眼蔵随聞記の再放送を1時間見ることになりました。目は疲れ世界はかすんで見えています。