小さくしゃくれた鼻。つぶらな瞳。ポッとふくらみ紅さした頬。ぷくぷくとして思わず触りたくなるような手、足、ほっぺ。細い線で縁取られ淡い水彩で描かれた子供達の絵はいずれも柔らかく、見る者の心を解してくれる。
3日目車で南下して「安曇野のちひろ館」へ向かう。途中道に迷い屋敷口で草むしりしていた老夫婦に美術館への道を尋ねた。そのお宅は生垣が廻らされ、門には手入れした樹齢100年を超える立派な松ノ木がそびえていた。
車窓から見たお屋敷は通り過ぎるには惜しく見せてもらった。中庭は植え込み、小石、竜のヒゲで作られ、玄関前は滝仕立ての池、裏は防風林、奥には作物が植えられ遠方の山並みを借景に据えて見事だった。
ユッタリ設計の美術館は、遠景に北アルプス近くに川を従えた草原にあった。喫茶室兼食堂、読み聞かせ室、中庭や屋外には寛げる長椅子が沢山あって、800円の入場券は同日なら何回でも入場可能。何度も知人を案内している主は別の所で待った。ちひろの子供達にモット触れていたかった。次は1日がけで訪ねたい。