玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

都電荒川線

2006年05月30日 | 捨て猫の独り言

 のどがイガラッポイ、かぜをひいたと自覚した。悪いことに歯にも影響が出て食事をすると痛む。もとに戻るのに2週間を覚悟した。この28日の日曜日に高校男子バスケット部の試合の付き添いで出かけた。私は初戦は見ていない。付き添った都立荒川工高会場の2戦目に我がチームは敗れた。

 1試合は2時間かかる。勝ち負けに関らずつぎの試合の進行の補助的な仕事を担当せねばならない。私はその時間を利用して初めて訪れたこの地域を見物することにした。隅田川沿いにアクロシティがある。大規模工務店が開発した居住のための近代的都市空間だ。そこの超高層建築を見上げると、垂直性の感覚が麻痺していることに気づく。そこから古い町並みを荒川公園にたどり着く。昼下がりの木陰で大勢の老人達が将棋の真剣勝負をしている。将棋はだめな私だが何やら懐かしい気持ちで一杯になる。

 いつも通り解散前のミーティングが始まる。最初に私が発語する。夏合宿でチームを見るぐらいで、普段の練習の様子はまるで知らない。そんな私が何を語ることがあろう。おしつけがましいことなど不要だ。何もたさない、何もひかない。そんな言葉を捜す。「精一杯のプレーを見せてもらった。最後まで緊迫感のあるいいゲームだった。3年生はこれが最後のゲームとなったね。ご苦労様でした。」

 この日は行き帰りともパソコンの路線案内通りでなかった。見物の途中で見つけた都電荒川線に飛び乗った。始発の三ノ輪橋駅から2つ目の荒川区役所前駅から終点の早稲田まで51分もかかるという。料金は一律160円で、利用者は多い。鉄路沿いには色とりどりのバラの花で埋まっている。沿線住民の路面電車に対する愛着が感じられる。私は後方の無人の運転席のてすりにもたれて、咳き込みながらも去り行く沿線の風景を飽くことなく眺めていた。京都の京福電鉄のようなものだ。残せるものは積極的に残して欲しい。雑司が谷をすぎて終点の早稲田あたりが殺風景なのは残念である。思いがけなく楽しい一日となった。

コメント
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