Con Gas, Sin Hielo

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「ブレットトレイン」

2022年10月01日 23時19分46秒 | 映画(2022)
列車の旅はいつも楽しい。


B.ピットって、名前が超の付くメジャーでありながら、あまりブロックバスター的な娯楽大作に出るイメージがない。

だからこそ本作にはとても意外性を感じた。それに加えて舞台はわが日本である。公開から1か月と遅れたが、待ちに待った鑑賞であった。

ハリウッド映画に出てくる日本といえば、何を置いてもとんでも設定である。フジヤマ、ゲイシャ、ハラキリ、スモウ。この辺りを適当に出しておけばいいという演出がよく見られたものだ。

主な原因として、日本の社会や文化への無知に加えて、ある種の人種的蔑みによるものがあったのだろうと思われるが、さすがに今の時代にそこまでひどいものは見られなくなった。

本作も弾丸特急の描写を中心にツッコミどころは満載である。何しろ車内で殺し合うのだからリアリティからかけ離れるのは当然。

しかし、色彩等見せるための演出の範囲でのデフォルメこそ多いが、一貫してリスペクトを感じられるし、何より常に楽しく見ることができたというのが正直なところ。

クセの強い人物がぽんぽんと出てきて、ところ構わず殴り合いや殺し合いを始めるのも、ぶっ飛んでいるがとにかくテンポが良く見入ってしまう。それでいて全員のキャラクターが立っているので置いてきぼりになることもない。

特にうれしかったのは、真田広之の扱いである。数々のハリウッド作品に出演しているが、どちらかと言えばかませ犬的な役が多かった彼が、今回は重鎮として文字通り作品に重みを与える役回りになっていた。

米中が覇権争いをする世の中になって、ますます存在感が薄れていく中で自信を失くしているわが国。そんな時代に何故本作が作られたのか。それともそんな時代だからこそ作られたのか。

完全な娯楽作品だから政治的なメッセージは一切含まれていないが、ハリウッドがお金をつぎ込んでこんな作品を作ってくれたことがとてもうれしい。

(90点)
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