Con Gas, Sin Hielo

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「モービウス」

2022年04月09日 22時32分55秒 | 映画(2022)
力が人の心を塗り替える。


いわゆるヴィランが主役になる映画は「ヴェノム」に次いでということになるが、作り方はなかなか難しい。

観客の感情を引っ張ってくるためには、過去の不幸なできごとから負の能力を持ってしまったという筋書きにならざるを得ず、結局は悪役というよりもダークヒーローという収まりになる。

ヴェノムもこのモービウスもスパイダーマンの敵というのが一般的な認識らしいが、この後会いまみえることになるのだろうか。「バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生」みたいになりはしないかと少し心配する。

ノーベル賞級の世界的権威であるマイケル・モービウス医師は、幼い頃から血液の難病に苦しんできた患者でもあった。努力と執念で開発した人工血液は人々に生きる希望を与えたが、彼は更なる治療法を求め、血液を食料とするコウモリによる血清開発に取り組んでいた。

マウスの実験が成功し、彼は自らの肉体で人体への臨床試験を始めるが、そこで悲劇が起こる。

人を救いたいという純粋な気持ちが、図らずも怪物を生んでしまうというのは、悪役あるある、定番中の定番である。しかしさすが主人公、マイケルはダークサイドに堕ちずになんとか踏み止まる。

代わりに怪物の恐ろしさを知らしめるのが、幼い頃に同じ療養施設に入っていたマイロことルシアンである。療養施設時代は、近所の子供たちに突き飛ばされるひ弱な少年だったのが、大人になったら何故か悪役顔の金持ちに。M.スミスの顔を見たら、この映画のストーリーが読めてしまった。まあいいけど。

コウモリを使った治療は病気に対し劇的な効果をもたらすものの、血液を接種しないと健康を維持できない体に変わってしまうという劇薬であった。

人工血液よりも生身の人間の血液の方が効果はてきめんで、血液を摂取した直後は、ハルクもびっくりの超人的能力を発揮する。体が不自由だった立場から一気に超人へ。よほど高貴な精神を持っている人でない限り、そのスーパーパワーの虜になってしまうのは仕方ないというところか。

スーパーパワー発揮の場面は、さすがのJ.レトでも技術の手を借りずには演じられなかったようで、瞳孔が急激に縮小したり、耳が周囲の音に反応して振動を起こしたり、非常ににぎやかな画面となる。ただ、覚醒したルシアンの顔がどう見てもJ.キャリーのマクスにしか見えないという何とも言えない状況に。顔が緑色じゃないからいいか。

(75点)
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