お笑い芸人の母親や親族の生活保護需給が問題になっていますが、これを機に、生活保護支給額等の見直しも検討されています。
これは、お笑い芸人の稼ぎが高いことで問題になっていますが、「人並みの年収の別居の子供がいて、親が生活保護を貰っているケース」はどうなるのか、と考えます。
基本的に子供が親の面倒を見るのは当然、法律上も親族扶養の義務もあると思いますが、現在は核家族化が進み、収入が人並みといっても、そのレベルは下がる一方。完全に扶養義務を遂行したら(当然医療費も生活保護でなければ負担)、共倒れになることもありそうです。
今回のお笑い芸人は、収入が多くなっても、市から生活保護打ち切りの話を蹴飛ばして、親の生活保護を貰い続けることを自慢していたといわれていますが、こういう人たちのほうが本当は稀だと思います。
それにしても、今回のような騒動がなかったとしても、生活保護はもう国も自治体もいっぱいいっぱいで、支給額(実際多すぎ)も制度も見直しはせざるを得ない状況であるのは確かであると思います。
ただ、「ただ支給額を下げる」も「子の責任にする」というのも、短絡的で、もっともらしく言いはするものの実体は、「工夫のない福祉の後退」ということでしょう。
私がボランティアセンターやシルバー人材センターにいたとき、生活保護が必要だと思われる人たちでもアドバイスを受けることがなかった人たちとそれに苦悩する人、同時に不公平さも見てきました。
なかでは、こんなケースもありました。
① 年金額が少なく、夫は病身。週3日毎週病院に夫をつれていくのにタクシーを使わなければならない。そして、病院に付き添うと、やっとみつけた掃除の仕事も首になってしまうと悩んでやってきた高齢女性。
(結局これは、通院の送迎を引き受けてくれるボランティアさんがいたので、なんとかなりましたが、正職員だった同僚男性が「奥さんが仕事を辞めて、生活保護を申請したほうが本当は良いと思うけど、立場上、それはいえない」と言っていたのが、とても印象に残っています。)
② 軽い知的障害があるようでしたが、失職し仕事が見つからず、アパートを追い出されそうになった軽い知的障害がありそうな50代前後の男性。
(「シルバー人材センターで仕事を紹介してくれるから、そちらに行ってください」と市役所の担当者に言われてやってきました。なお、シルバー人材センターは、職業斡旋所でもなければ、そもそも60歳未満の登録を行っていないのは、市の職員なら知っていたはずですが・・・。)
その一方で、病院で働いていた友人から、
「生活保護で無料でピアスの穴を開けに来た人がいたのにはあきれたわ。さすがにこれは認められなかったけど、しみとりは、生活保護の範囲でできてしまうの。信じられる?」
というのを聞いたことがあります。
病院の話-ここは市民病院でしたが、病院によっては、生活保護者に多く薬を出したりすることで、儲けられたりしまするということで、案外見てみぬ振りをされて甘くなっている部分もあると思います。
医療費無料といえば、これを利用して、薬を多く入手して、それを売りさばく生活保護者もいるようです。
生活保護を受けているのに、ピアスやしみとりを無料でしようとする人も個人的にはどうかと思いますが、その前に、(ピアスはだめでしたが)生活保護者のしみとりは無料、薬はもらい放題、ということがまかり通ることにメスをいれるのを、まずすべきだと思います。
そして、「支給額」については段階わけがあってもよいと思うし、食住の部分を現物支給にする、自治体の仕事(共同農園みたいなものがあってもよい)を手伝うことで支給額アップ、など、いろいろ検討していってほしいです。
(なお、ドイツは、生活保護者に仕事を紹介して、「断ると支給をストップ」ということもあると聞きます。仕事を一つ二つしか紹介しなくて、それを断ると「支給をストップ」というのは乱暴だと思いますが、何かしら仕事をしないでお金を受給していると働くのが億劫になる人もいます。なので、生活保護には社会参加を半ば義務付けるべきであると思います。)