昨年末に、ドイツのペンフレンドのトーマスさんが「ドイツがアフガニスタン派兵の延長決定に反対する声が国内で高まっている」というのを話題にしたとき、私は以下のとおりコメントしました。
「ドイツのアフガン派兵の延長は、本当のところ、ドイツの与党内にもどれだけ「意味がある」と思っている人がいるのでしょう?与党内であっても、皆そんなことはしたくないのが本音ではないでしょうか。選挙にも不利にもなるし。
ただ、ドイツの産業界では兵器を作って儲けている大企業があります。もちろんそれらのグループ会社は兵器だけを製造、販売しているわけではないので、直接関わっていない限りは、その企業の従業員であってもピンと来ないでしょう。
そういった企業は国の経済を活性化させて、雇用も確保してくれるので、政府にとっては大切な存在。そして、そうした企業の重役が「どんな戦争も良い戦争などない」と思っていたとしても、会社として考えると戦争がなくては成り立たない、戦争には武器を使う兵隊も必要-などということもあるので、政府もアメリカ政府の要請は断われない、というメカニズムができあがってしまっているのではないでしょうか?」
「ドイツには、『ドイツ平和村』という戦争や内戦で怪我をした子どもを保護してリハビリをする市民団体による施設がありますよね。
ここでは企業からの寄付も多いと思いますが、そうした善意がある企業の中にも、同じように間接的に軍需産業と繋がっている企業もあるかもしれません。
これと同じで、派兵延長に反対している人達の中には、そういった企業・系列会社の従業員だったり、そのお給料で暮らしていたりしている人も実はいたりするのでしょう(もちろん、本人はその繋がりについては考え及ばない)。アフガニスタン派兵も、他の戦争も、「反対」を叫んでも、こうした大元をなんとかしないとなくならない気がします。」
一緒に「派兵延長は横暴ですよね。」と言って欲しかっただろうトーマスさんは、ちょっと拍子抜けだったようではありましたが、この問題が単純ではないということを同意してくれました。
(話は少しそれますが、建築関係の仕事をしていたトーマスさんのお父様がこの『ドイツ平和村』の施設建築に関っていたという話を、このあと彼から聞いて驚きました。お父様は、まだ幼かったトーマスさんを現場に連れていってくれて、ベトナム戦争の話を聞かせてくれたそうです。)
現在、在日米軍再編・普天間移設問題で、日米安保、日米同盟について大変注目を浴びています。同時に、中国ほか、北朝鮮やイランに対抗、もしくはアルカイダ等の抑止、戦いの為の「軍事力増強」「核武装」「武器輸出三原則を変える」という声も上がっています。
「国と国の関係はいくら相互関係が出来上がっていても、永久に戦争にならないとはいえない」というのは理解しつつも、何時の場合も、安全保障の陰で、算盤をはじいている人達(泣き泣きかもしれませんが・・・)がいるような気がしてしまいます。