「暑いぞ、熱いぞ だった大阪旅行記 #3-10」のつづき、いよいよ完結編です。
南禅寺の方丈には、メイン(?)の大方丈(清涼殿)前の庭のほか、いくつも庭があって、どれも禅寺らしい佇まいを見せてくれました。
小方丈の庭園(1966年作庭)は、
国宝である小方丈の庭園は別名「如心庭」といわれる
その名の如く心字形に庭石を配した枯山水の石庭である
庭の配置については『心を表現せよ』と当時の南禅寺派管長であられた柴山全慶老師が自ら熱心に指導されたとのこと
悟りの境地のごとく落ち着いた雰囲気の禅式枯山水庭園である
だそうです。
また、
ここ南禅寺の境域も古くから神仙佳境、すなわち仙人が住む佳きところと称えられてきた。
仙人たちの住むこの庭を眺め、あなたの心の中に迷いや悩みのない佳境を見出してください。
という「蓬莱神仙庭」は、隙間を利用して作ったような小さな庭でした。
一方で、枯山水庭園だけでなく、緑豊かな庭も…。
この「六道庭」(1967年作庭)の解説には、
「如心庭」が悟りの心の風景の庭であるのに対し この「六道庭」は六道輪廻の教えを考える庭である
六道輪廻とは 天上道・人間道・修羅道・畜生道・餓鬼道・地獄道の6つの世界を私たちは生まれ変わり続けるという仏教の世界観をいう
道とは世界のことである
一面の杉苔の中に配置された景色を眺めながら静かに現実を直視すると煩悩に迷い涅槃の境地に達することなく六道を輪廻する我々凡夫のはかなさを想う
とありまして、この眺めから、自らのはかなさを想えるだけ大したものだ
と思う凡夫の私でございました。
また、渡り廊下に囲まれた「鳴滝庭」もなかなかです。
右手前に写っている巨大な硯のようなものは、どうやらつくばい(手水鉢)のようです。
こちらの眺め
は、茶席「窮心亭」と「南禅寺垣」とのマッチングが見事
です。
ちなみに「南禅寺垣」というのは、こちらのサイトによると、
竹と萩という違う素材を組み合わせた竹垣です。
竹のもつ力強さ、萩のもつ柔らかなやさしさがうまく調和し見るものを引きつけます。
だとか。
そういえば、お寺の名前を冠した竹垣には、「龍安寺垣」というのもありましたっけ…(下の写真は、2011年3月に龍安寺で撮ったもの)
ところで、南禅寺方丈の渡り廊下がイイ
暑さが和らぎます…
でも、御所の清涼殿でも思いましたが(記事はこちら)、冬はさぞかし寒いことでしょうなぁ…
でも、良い季節に庭を眺め、襖絵の名品
を鑑賞
し、お茶
を点てるばかりが禅僧であるはずもなく、悟りの境地を探り続けるお坊さんにとって冬の寒さは、待ってました
的な格好の修行の場なのかもしれません
あ” そういえば、障壁画をあまり観てこなかった
と、いまさら気づいても遅いわけで、また訪れたときにじっくり拝見することにいたします。
でも、南禅寺では、障壁画よりも庭の方が魅力的だよな…
こうして超久しぶりに南禅寺の方丈を堪能した私は、昼食を摂ろうと外へ…。
おっと、これは
「日本三大燈籠」の一つ、佐久間勝之が寄進した大燈籠です
このほんの2週間前に、熱田神宮で大灯籠を拝見した私(記事はこちら)、残るは上野のお化け灯籠だけですな。
って、数週間を空けずに出かけている上野なのに、上野のお化け灯籠を観たことがない(っつうか、この記事を書くまで場所さえも知らなかった)というのは問題
かもしれません
さて、南禅寺周辺で食事をするならば、やはり湯豆腐でしょう
このくそ暑い中、湯豆腐を食するのはいかがなものか…
と思いつつも、やはり豆腐好きで、日頃、スーパーで売られている激安豆腐に辟易
している私としては、豆腐を食べずにはいられません
ということで、3度目になるお店で湯豆腐をいただきました
店内には冷房が入っていたものの、案の上、鍋に火が入ったとたんに暑い
でも、美味しくいただきました
これを最後に、地下鉄を乗り継いで(祇園祭には目もくれず
)、京都駅に向かい、指定席
をとっていた新幹線
に乗って帰宅しました。
予想通り、新幹線は大変な混み具合
で、車内販売が中止
されるほど
こうして、祇園祭宵山巡幸の当日という予期せぬ(=準備不足
)日だったものの、というより、それ故、のんびりと京都観光を楽しむことができたのでした。
めでたし、めでたし。
ということで、7月の関西旅行記が完結いたしましたので、先々週の関西旅行記にとりかかることにします。
【追記】この記事をアップした後、さっそく上野に出かけて「お化け灯籠」を拝見してきました。その見聞録はこちら。 (2017/11/12 09:25)