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新・徒然煙草の咄嗟日記

つれづれなるまゝに日くらしPCにむかひて心に移りゆくよしなし事をそこはかとなく紫煙に託せばあやしうこそものぐるほしけれ

「カッコイイ!」の連発だったカッサンドル展

2017-02-18 21:03:34 | 美術館・博物館・アート

私の家の廊下には、14年も前にアール・デコ展@東京都美術館)で買ってきた1925年パリ万博、通称アール・デコ博覧会ポスターを額に入れて飾ってありました。
実は、このポスター(額絵)の下には、一緒に買ってきたポスターがひっそりと眠っていたのですが、ついに、きょうの夕方、そちらを前面に持ってきました。
その新旧の様子がこちら 

疾走感にあふれるのポスター(アール・デコ博のポスター用のマットをそのまま使ったので、サイズがあってない…)は、里見宗次1937年に制作した鉄道省の海外向けポスターです。
かなぁ~り、カッコイイ このポスターをずっと眠らせていたのはもったいなかったかも・・・ 

さて、私が展示替えしたのには訳があります。

というのは、きょう、埼玉県立近代美術館「カッサンドル・ポスター展 グラフィズムの革命」を観て、「カッコイイ」「カッコイイ連発&ニヤニヤしっぱなしだったもので、同時代同じパリで活躍していたカッサンドルの影響が顕著な里見宗次のことを思い出したから。

カッサンドルのことをご存じない方のために、カッサンドル展のサイトから説明を転記しますと、

カッサンドル (1901-1968) は、ウクライナに生まれ、フランスで活躍した20世紀を代表するグラフィックデザイナーです。キュビスムバウハウスから影響を受け、1920年代に制作した幾何学的でダイナミックなポスターは、時代の先駆的な表現として、グラフィックデザイン界に「革命」とも言うべき大きなインパクトをもたらしました。カッサンドルのポスターに共通する壮観な構図とスピード感は、機械と大量消費の時代をまさに体現していたのです。1930年代に入ると、画家バルテュスとの出会いから絵画制作に熱中する一方、アメリカでファッション雑誌『ハーパーズ・バザー』の表紙を手がけるなど、芸術家として活動の舞台をさらに広げていきました。

というお方なんですが、それよりもこちらのポスターならご覧になったことがあるかもしれません。

「伝説の客船」ノルマンディー号のポスター(1935年)とか、里見宗次が大いに刺激をうけたという名作「ノール・エクスプレス(北方急行)」のポスター(1927年)とか、

ド~ン迫る、あるいは、すぐ脇を走り抜けるを感じるような、極端な遠近感気持ちイイ!

蓄音機を真上から見下ろした(THE TOUR OF MISIA LOVE BEBOPでもこんなアングルの映像がありましたっけ…)「パテ」(1932年)も好きだなぁ~

買ってきたポストカード82では送れない大判)や図録から引用を始めると、もう止まらないくらいお気に入りの作品ばかり

そんなステキな作品ばかりの中で、私が初めて観て、そして、一番お持ち帰りしたかったのが、こちら

「スピドレーヌ」(1932年)です。
恐らく(私、フランス語サッパリ…です)エンジンオイルの宣伝ポスターだと思うのですが、バランス文字の配置、細く流れるオイルから立ち上るかすか青いオーラ、もう、このセンスたまりません 

さらに私をにやけさせたのが、ワインのポスター「デュボ・デュボン・デュボネ」(1932年)でした。

ワインを飲むにつれて、男性も、DUBONNET(シャトー名 or メーカー名)文字色づいていき、DUBO(Du beau=美しい)DUBON(Du bon=美味いい)DUBONNETになっていくというのですから、お見事 と賞賛するしかありません

このおじさんは人気を集めて、扇子4本骨バランス悪し)とか灰皿とか帽子などのグッズ大受けだったのだとか。

ほとんどの展覧会では、図録を買うと、決まって透明の手提げ袋に入れてくれるものですが、「カッサンドル・ポスター展 グラフィズムの革命」は違っていました。
ほら 

ぎゃぁ~ 的な良さです

この袋、何に使おうか… と考え込んでしまいます。

   

ところで、ここまで紹介したカッサンドルの作品、制作年1927~1935年と、8年間という短い期間のみです。

1930年代半ば以降の作品は、「Chapter 3」に展示されていたのですが、それまでの作品とはガラリと変わっていて、私のニヤニヤ止まってしまいました。

正直、面白くない

展覧会中盤までの輝きは、そこにはありませんでした。

この記事の前の方に転記したHPでの解説に、

1930年代に入ると、画家バルテュスとの出会いから絵画制作に熱中する一方、アメリカでファッション雑誌『ハーパーズ・バザー』の表紙を手がけるなど、芸術家として活動の舞台をさらに広げていきました。

とありましたが、ポスターから軸足を移した絵画イマイチの評判だったようで、ついには、

晩年にはポスター作家としての「フォルムの完璧さへの欲求」と、絵画における「己を解き放たんと希求する叙情性」との間で、次第に苦悩を深めていった。そして1968年、パリのアパルトマンで自ら命を絶つことになる。

だそうです。
なんとも痛々しい話です。

無謀にも総括すれば、自分のフィールド天命は何なのか、カッサンドル見誤ってしまった・・・という気がします。

ちょっと書き足りない気持ちがあるのですが、「カッサンドル・ポスター展 グラフィズムの革命」のきょうの感想はここまで。

つづき:2017/02/19 「カッコイイ!」の連発だったカッサンドル展(落ち穂拾い)

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