三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

トランプが大統領に再選されたら

2024年09月29日 | 日記
2024年のアメリカ大統領選挙が近づきました。
ハリス副大統領のほうが支持率がやや高いそうですが、トランプが当選するかもしれません。
トランプはボロが出ているはずなのに、なぜ人気があるのでしょうか。

横田増生『トランプ信者潜入一年』によると、トランプがアメリカ史上最も嫌われている大統領だそうです。
トランプ政権の発足から支持率が50%を超えたことがない。
キリスト教福音派が支持しているといっても、白人がほとんどで、黒人の福音派はトランプを支持しない。

2020年の大統領選挙では120年ぶりとなる66%という高投票率だった。
投票率が低かったら、トランプが再選されたかもしれない。

なぜ2016年の大統領選挙でトランプが当選したのでしょうか。
横田増生さんはカート・アンダーセン『ファンタジーランド』から引用しています。
トランプが大統領になると決意したきっかけは、アメリカ人の心の奥底にある2つの気質と結びついた新たな陰謀論が人びとの間に根付いたと信じたからだ。その気質とは、非白人や外国人への恐怖感と嫌悪感である。また、トランプは、政治はショーでありでっち上げだとアメリカ人の一定数が信じるようになるまで待ってから、大統領選挙に出馬した。

政治がショーであり、でっち上げ(陰謀論というウソ)ということを、トランプは2008年の大統領選挙で副大統領候補だったサラ・ペイリンに学んだ。
サラ・ペイリンを副大統領候補とすることを推薦した共和党の選挙参謀はこう語る。
サラ・ペイリンは平気でウソをつく人だった。ネット上のウソを拾い上げ、あたかも事実であるかのように話した。その後、アメリカの政界で事実と虚構や、真実とウソの間の境界線が消え去り、それが蔓延するようになった。
サラ・ペイリンはウソと陰謀論をSNSによって広めた。

キリスト教では、この世界の背後には神という目には見えない支配者がいて、自らの意思で宇宙全体を導き、計画を実行しているというのが、その基本的な考え方。
現実世界で見えている点と点を結ぶと大きな絵が浮かび上がってくる。
これは陰謀論と同じ構造だ。

アメリカでは近代の合理主義と啓蒙主義から生まれた国なので、ものごとはすべて合理的に進むという歴史的認識がある。
だから、少しでも不合理なことや、意図せざる物事が起き始めると、何かがおかしいのではないか、だれかがよからぬことを企んでいるのではないかという論理が自然に発生する。
説明のつかないものを、どうにかして納得しようとする時、キリスト教の基本構造とアメリカ固有の合理主義史観が合わさることで、陰謀論の温床ができあがる。

トランプはSNSの政治への利用方法や庶民的な言葉で語りかけることの重要さ、さらには陰謀論を使って世論を撹乱するサラ・ペイリンの方法を学んだ。
トランプは疑惑を提示するだけで説明しない。

新型コロナウイルスについてもいい加減な発言ばかりしていた。
「コロナの99%は「完全に無害」 トランプ氏発言の誤り、FDA長官も訂正せず」(2020年7月)
https://www.cnn.co.jp/usa/35156318.html

「トランプ氏、新型コロナ「消えてなくなる」 感染・死亡増の現実否定」(2020年8月)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-08-05/QELC7XT1UM1B01

横田増生さんはこう書いています。
2020年5月1日、ミネソタ州の自宅待機命令に抗議するデモの取材をする。
エリザベス・ドミニック(63歳)はナース・プラクティショナー(正規の看護師より上級職で、看護師と医者の中間のような存在)。
どうして抗議のデモに参加したかって? 看護師や医者には箝口令が敷かれていて、新型コロナの現状を話すことができないの。実際は、一部の左寄りメディアが報道しているほどひどくなく、すでにイリノイ州では州全体の経済を再開できるほど安全な状態なのよ。
2020年5月以降も大勢がコロナによって死亡しています。

トランプは2020年の大統領選挙で不正があったと、今も証拠もなしに言い続けています。
連邦議会議事堂襲撃では、トランプは、暴力沙汰はなかった、あるいはアンティファがやったと言って、責任を転嫁した。
事件で死傷者が出ているのに、それをでっち上げと決めつける。
https://www.fsight.jp/articles/-/48675

自分の主張の正しさ、ウソではないことは自分が証明しなければならないが、トランプは自分の発言を本当だと証明しない。
トランプ自身が証明できないことを知っており、証明するつもりもないからだ。
ウソを証明するのは、敵対する陣営の仕事だとして放棄している。
だから、何度、事実確認(ファクトチェック)で、間違いを指摘されようとも平気なのだ。

民主主義の脆弱性を説いたスティーブン・レビツキー、ダニエル・ジブラット『民主主義の死に方』は、4点の特徴がある政治家には要注意だと説く。
1.民主主義のルールを否定・軽視する。
2.政治的な対立相手の正当性を否定する。
3.暴力を許容・促進する。
4.メディアを含む対立相手の市民的な自由を率先して奪おうとする。

いったん扇動政治家(デマゴーグ)が政治の頂点まで上り詰めると、その暴君が民主主義を破壊するのを食い止める手段は限られている。いずれの民主主義国家も、こうした独裁者が政権をとることを前提として作られていないからだ。

トランプが大統領に再選されたら何をするか心配です。
日本では日本維新の会の人気に陰りが見えますが、石丸現象が起きています。
ポピュリズム政治家の発言を信用している人が少なくないように思います。
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