『映画で学ぶ現代宗教』に、ドリュー・エリオット『ザ・シークレット』(2006年)という「引き寄せの法則」についてのドキュメンタリー映画が取り上げられている。
古代バビロニアから「引き寄せの法則」は秘密にされていたが、プラトン、シェークスピア、ニュートン、アインシュタインたち、歴史上の偉人はこのシークレットを知っていた。
では、「引き寄せの法則」とは何か。
前向きで明るい思考は、前向きで明るい現実を引き寄せるということである。
なんだ、アホらしいという秘密なのだが、『ザ・シークレット』のDVDと同名の書は大ヒットしたんだそうだ。
ポジティブ・シンキング(プラス思考)とは楽観的な考え方という意味にとどまらず、楽観的、積極的な考えをしたら物事がいいようになるという信仰で、「心が世界を変える」というニューエイジの中心教義の一つ。
ポジティブ・シンキングは、「思考は現実化する」という19世紀以降アメリカで広まったニューソート(新思潮)、そしてニューエイジの流れにあるそうだ。
『ザ・シークレット』の解説を書いた小池靖氏はニューソートについて、このように説明している。
「1980年代にはチャネリングや自己啓発セミナーによってニューエイジ運動が起こり、そうした運動は現在のスピリチュアル・ブームを形作っていったが、ニューソートは、思想的にもそうした運動の先駆けであった。(略)
精神的安定、健康、そして物質的成功までもが、人間と宇宙との調和によってもたらされると説いた。聖書に基づく病の癒しを説いたクリスチャン・サイエンスは、ニューソート系の団体である。日本の新宗教では、生長の家がニューソートの影響を受けている」
谷口雅春氏は、日本がアメリカに負けたのは日本人が勝てると思わなかったからだと言ってたそうだ。
戦争に勝つという強い信念を持てば必ず勝つというのは精神論だと思ってたが、ニューソートだったんですね。
小池靖「良いことを思えば良いことが起こり、自分自身を強く信じていれば夢はかなうといった発想は、今やアメリカ大衆文化に広く浸透している」
なるほど、アメリカ映画は「なせばなる」「やればできる」というメッセージを発信しつづけている。
ニューソートとキリスト教福音派とは関係があるのか、そこらも興味深そうである。
小池靖「ポジティブな思考がポジティブな結果を生むという考え方は、自己啓発書ではもっともありふれた発想である」
たとえば、五日市剛「ツキを呼ぶ魔法の言葉」という冊子。
ツキを呼ぶためには「ありがとう」「感謝します」と声に出し、汚い言葉は使わない、人の悪口を言わない。
そして、「自分は運が良い」「ツイているんだ」と信じ、それを言葉にしていれば、ツキがやってくる。
こんなお説教がなぜか評判がいいようで、真に受ける人がそれだけ多いのかと、日本の先行きが不安になる。
櫻井義秀『霊と金』によると、神世界の魅力は「ポジティブ・シンキング」と「カウンセリングの需要」(肯定的に話を聞いてもらいたい)ということだそうだ。
神世界の被害者のAさん(女性)のこんな経験。
「サロンに通う間に不思議な体験もした。通りを歩いていて信号機にさしかかると全て青信号になり立ち止まらずに済んだ。レジに並ぶと、自分の所だけ早く進む」
それをスタッフに語ると、「効果が出ましたね」と言われる。
ささやかではあるが、これも「物事をいいほうに考えるといいことがある」という一例である。
もっとも種明かしすると、「人は都合の良いことだけを記憶するものであり、そうした記憶は他人からの肯定で強化される」というだけのことなのだが。
ポジティブ・シンキングは一種のご利益信仰なのである。
小池靖「この映画(『ザ・シークレット』)の考え方は、中産階級の物質主義をあまりにも率直に肯定しているとも言える。実際、24人の証言者たちのうちの1人が、映像の中で「いわゆるスピリチュアルな人々は病気か貧乏な人たちが多い」という本音を漏らしている」
櫻井義秀氏によると、「ポジティブ・シンキングは、自立・自律するためではなく、勝ち残る・生き残るための短絡的な処世術として日本に浸透」したそうだ。
ヒーリング・サロンに通う女性は専門職やゆとりのある生活をしている主婦が少なくない。
「ミドルクラスの人達は時代の雰囲気に影響されやすい。競争社会でキャリアアップする、自分を磨く、子供にいい教育を与える、健康に気を遣う、こうした事柄に敏感な人ほど日常生活にストレスも抱えている」
小池靖氏もこう書いている。
「こうしたメッセージが受け入れられる背景としては、個人個人の自己実現が叫ばれる社会でありながら、現実にはなかなか思うようには成功できない人々が多くいるということや、競争社会の中での個人の不安の拡大が挙げられるだろう」
で、ヒーリング・サロンにはまってだまされると。
櫻井義秀氏はポジティブ・シンキングについて、「「前向きに生きれば人生は向上する」という考え方は一見、正しい。しかし、少しでも人生経験があるならば、ことはそう単純ではないことも知っているはずだ。そもそも、それでは現在恵まれない生活をしている人は、「考えが後ろ向きだから」そうなっているとまで言えるのだろうか」と指摘する。
もっともな指摘だと思うが、ポジティブ・シンキング信者は聞く耳を持たないと思う。
五日市剛氏の講演を聞いて感動した知人に問題点の指摘をしたら、「感謝の気持ちを持つのがどうしていけないのか」とか「嘘は言っていない」という返事でした。
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占ったら、凶と決めつけているところが、すごいと思いませんか?
孔子が生きていたら、この日記に列挙されているものは、遠ざけるようにと、言っていたでしょうね。
ところで、巫女さんの中で効力のない人を野巫(やふ)と言っていたらしいです。これが日本で、なまって藪医者になったという説があります。
悪い予言だったら、はずれても文句を言われないから。
神秘体験をしやすい体質の人がいるそうです。
オーラが見えるとか、霊魂が身体から出たとか、そういう人にとっては現実の出来事なんでしょうね。
子どものころ、宿屋のおまんじゅう食べると小さな馬や牛になって、その小さい馬や牛がタンスの引き出しの中で、働いているお話、面白かったですね。後で、原文で、なんとか、読みましたら、かなりアレンジされていたとわかりました。
このお話、タンスの中に春夏秋冬が入っていてなんですか、不思議な感覚になりましたね。物語で非日常を味わうといいのに、と思います。
中国の小説は小話というかショートショートですね。
長編は明以降でしょう。
中国人は壺中の天のお話が好きみたいですね。
タンスの中も桃源郷も閉ざされた空間です。
もっとも、曹操のけらいなんて、イヤよね。
まあ、お天気のお姉さんだったので許しますが、アナウンサーだったら苦情ものです。
「信じなければならないものなんて信じる必要がないのだ」と、最近思っています。
信じるって、証明できないことを証明済にすることじゃないでしょうか。
ポジティブ・シンキング、信じて実行していたら怖い、モチーベーションの維持なら自分の心に嘘ついてる。
でも、感謝の気持ち・嘘は言っていないなんですね。ふーん
「合格」と答えたいところですが、ネットで調べると答えはここに。
http://www8.plala.or.jp/t-ikki/youshuu.html
こういう上司がいたらうっとうしいですね。
>てるてるぼうずさん
Dreams Come Trueですね。
夢を叶えるために努力しましょうと説く人がいれば、心から願ったことは実現するという信仰もあるし。
>信じるって、証明できないことを証明済にすることじゃないでしょうか。
普通「信じる」とは、知らないこと、わからないことを信じる、という意味です。
たとえば、遭難して、家族が「生きていることを信じています」と言うような。
でも、真宗の「信」は信知ですから、信=知です。
>嘘は言っていないなんですね。
五日市氏が講演の中で、中学教師が生徒に「ツキを呼ぶ魔法の言葉」を実践させたら、クラスの生徒全員が希望の高校に合格した、という話をしたんだそうです。
ほんまかいなと思いますよね。
そしたら知人は「教師がわざわざそんな嘘をつくことはしないでしょう」という返事でした。
信について
信じるの信は、人+言う、でしょ。ですから、私はどんな人でも、その人の言うこと一旦は信じるようにしています。そうして、どうしてそういうことを言うのかと、考えてみるようにしてます。すると、なんとなくそう言っているのが、理解できたりするんです。なんとなくですけど。
孔子は、「以前は言ってることが立派だと思ったらその人の行ないを信じたが、あることをきっかけに、その考えを改め、どんなに立派なことを言っても、そのまま受け取らないで、行動をよく観察することにした」と言ってたようです。
信頼は一度失ったら取り戻せません。
でも、人がどう思っているかわからないし、信頼されているかどうかもわかりませんし。
そうですね、曹操はゲーム感覚で言ったという解釈が多いと思います。こんなお話もあります。
趙母が娘を嫁がせるとき
「くれぐれも善いことはしてはいけません」
「善いことをしないなら、悪いことをしてもよいのですか」
「善いことさえしてはいけないんですよ。まして悪いことなんて」
継母のアドバイス、小さな親切、大きなお世話、にならないように、ということでしょうか。
そうですね。
「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや」の世界みたいな。
曹操のなぞなぞや継母の逆説は、これはなぞなぞだとか、逆説だとか、普通の人でもわかりづらいのではないでしょうか。
マサってご存知?
いろんな三国志が、あるんですね。『水煮三国志』っていう本あるんです。中国では、すごいベストセラーになったらしいです。私は、つまらなかったです。今度、マキノ監督のその映画見てみます。
ビジネス書なんですね。
私はビジネス書のたぐいは好きではないので。
ですから、辛さは世界共通の味となります。
だから辛抱しなさい、ということになると、おかしいと思います。