神戸市の市立小学校で教諭4人が同僚教諭に激しい「いじめ」を加えたことが社会問題化する中、今度は消防署を舞台にした陰湿な事案が明るみに出た。大阪府茨木市消防本部は12日、血圧計で後輩の首を強く圧迫したり消防車に逆さづりにしたりしたとして、33~47歳の男性救急救命士3人を懲戒免職処分にした。消防職場ではパワハラやセクハラが相次ぎ、総務省消防庁が2年前から対策を本格化させているところだった。
2016年に千葉県消防学校で体罰が続いたことなどで、消防庁は17年2月から検討会を開いて対策に乗り出した。実態を調査する4000人対象のアンケートでは、16年に「無視される」「殴られる」などの被害に遭った男性隊員が17.5%に上るなど、パワハラが横行。検討会では、上下関係が他の職場より厳しく、閉鎖的な職場環境であること▽24時間同じ隊員と過ごすこと――などの要因から「ハラスメントが起こりやすい環境」であると結論付けていた。(毎日新聞2019年11月13日)
会社などでのパワハラという暴力、学校のクラブ活動などでの体罰という暴力、これは指導のために暴力を振るうという日本軍の悪しき体質が今も生きているように感じます。
吉田裕『日本軍兵士』に、憲兵司令部「最近における軍人軍属の自殺について」(1938年)が引用されています。
陸海軍の軍人・軍属の自殺者は毎年120人内外、最近10年で1230人が自殺している。
軍人、軍属10万人に対して30人強に当り、一般国民の自殺率よりやや高い。
軍隊で自殺が多いのは、内務班(兵営の中で兵士が起居する区画)での古参兵や下士官による私的制裁という暴力が常態化していたことがある。
1938年以降、どれだけの日本兵が自殺したかはわからないが、数多くの兵士が自ら命を絶ったことは間違いない。
硫黄島では戦死者の6割が自殺だったと想われる。
1940年には、徴兵検査の基準が大幅に引き下げられた。
身体的だけでなく精神的な問題を抱えている青年(知的障害者など)も徴集された。
知的障害は3~4%に達した。
軍務に適応できない彼らは脱走や自殺が多かった。
このように吉田裕さんは書いています。
ウィキペディアによると、大正14年から昭和12年まで10万人中の自殺率は20人以上が続き、昭和11年(1936年)が一番高く22人です。
世界一ではないですが、かなり高い。
自殺者数が一番多かった平成15年(2003年)は自殺率27人。
https://honkawa2.sakura.ne.jp/2774.html
昭和30年代前半は自殺者が3万人を超えた2000年代と自殺率はほぼ同じ。
不景気だと自殺者が多いそうです。
https://www.sbbit.jp/article/cont1/35182
平成30年(2018年)は16.5人でした。
戦前の日本がそんなよかったわけでもないし、現代日本の状況は軍隊とさほど変わらないのかもしれません。