東エルサレムのある難民地区は、1k㎡に5万人が住んでいます。
そこの公民館のような施設2個所でパレスチナ人の子供たちと遊びました。
子供たちはすごく元気でした。
子供たちのダンス。
青い服の女の子はすごく上手。
子供たちの多くは父親や伯父さんが殺されています。
イスラエル兵士もおびえているから、何か見えると反射的に銃を撃つそうです。
3日前にも、15~17歳の少年を逮捕され、そのうちの1人(15歳)が射殺されたと聞きました。
子供たちの世話をしている女性がこういうことを話されました。
夜、イスラエル兵がやって来て、銃を撃ったりするので、日が昇ると、まだ生きていることにほっとする。
そんな毎日だ。
子供たちは安全な状態ではないので、こうしてみなさんと安心して遊べることにすごく喜んでいる。
子供たちに安全な場所を与えたい。
安全ということでは、福島の子供たちが保養に行くのと似ていると思いました。
これがパレスチナ人の生活です。
70年間、この状態にあるわけです。
イスラエルの人口868万人のうち、ユダヤ人が75%、アラブ人その他が25%です(2017年)。
もっとも、ローマ帝国によって国を追われたユダヤ人の子孫が現在のユダヤ人というわけではありません。
1970年に改正された帰還法によると、ユダヤ人の定義は「ユダヤ人の母から産まれた者、もしくはユダヤ教に改宗し他の宗教を一切信じない者」です。
ユダヤ人という人種がいるわけではなく、ユダヤ教を信じる人がユダヤ人なんだそうです。
私がユダヤ教に改宗したら、私もユダヤ人だということになります。
イスラエルでは、子供たちは学校で「この土地は神から与えられたものだ」と教えられ、神の民だと刷り込まれています。
そして、ユダヤ人はパレスチナ人を恐れているので、強硬派が支持を集めています。
まるで「神国日本」みたいなお話です。
民族紛争解決のポイントは、「憎しみや恨みを忘れて、テロと報復の連鎖を断ち切ること」と、「隔離や分離をしないで多民族が平和に融合した社会を目指すこと」だ。(山井教雄『まんがパレスチナ問題』)
私はイスラエルで「チャイニーズ?」と聞かれることがしばしばありました。
中国人と韓国人と日本人の区別がつかないんだそうです。
私もユダヤ人とアラブ人とを見分けることができません。
ユダヤ人の男性は頭にキッパという帽子をのせてるし、イスラム教徒の女性はスカーフをかぶっているので、それで「この人はユダヤ人だな」とか「ムスリムなのか」とわかるぐらいです。
しかし、イスラム教徒の女性でもスカーフをしていない人はいるし、キリスト教徒のアラブ人女性はスカーフをしません。
そういえばロレーヌ・レヴィ『もうひとりの息子』は生まれたときに病院で取り違えられたユダヤ人とパレスチナ人の話だし、ジョン・ル・カレ『リトル・ドラマー・ガール』はアラブ人かと思ってた人がイスラエルの諜報員でした。
ユダヤ人やパレスチナ人だって間違えるわけです。
そもそもパレスチナの土地にずっと住んできたパレスチナ人こそ、ダビデやソロモンの末裔のはずです。
人種、民族の違いとは何なのかと思います。
死海に行った時、イスラエルの若者(20歳)から日本語で声をかけられました。
日本語が上手なので、どこで学んだのかと聞いたら、ネットでの独学だそうです。
今は軍隊に入っている、除隊したら日本の大学に留学したいとのことでした。
パレスチナ問題についてどう思うか聞いたら、私の言ってることが理解できなかったのか、とまどったような顔をして「アラブ人の友達が2人いる」と答えました。
お父さんも一緒に来ていて、「両方の主張が食い違っているから難しい」と話してたそうです。
おそらくこの一家は世俗派の知識人だと思います。
それでも、軍人だから、パレスチナ人にいやがらせをしたり、暴力を振るったりすることもあるかもしれません。
上官や同僚から命令されたらイヤとは言えないでしょう。
イスラエルでは、除隊したあとに世界中を旅行する若者が多いそうです。
世界、そして日本を知ることで、これはおかしいと気づいてくれたら、と思いました。
変化がないわけではありません。
屋上で野菜を作って販売している女性グループや、農産物、工芸品、石鹸などを作っている女性グループの話を聞きました。
黒いタンクは水の貯水用。
ここで野菜を作っています。
少しずつ変わっていくことを期待したいです。