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社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

無期転換ルールに見る時代の変化

2016-07-03 23:15:14 | 法改正

今週火曜日のセミナー「無期転換と限定正社員」のテーマで1週間準備をしていましたが、実はこのテーマは平成25年の労働契約法の改正で無期転換ルールが施行されてから何度か取り上げたテーマです。レジュメも都度メンテナンスしてきており、厚生労働省もモデル就業規則や事例をhpにアップしてくれたので、さらに今回は資料にそれらを加えて当初のレジュメよりは大分充実したものになってきた感じがします。

しかしこのレジュメのメンテナンスをする中で、平成25年の改正労働契約法の施行時点と平成28年の今ではずいぶんと状況が変わってきたと感じます。この取り巻く状況の変化により、企業のニーズもだいぶ異なっている可能性があり、その点をしっかりとらえて話を進める必要があると思いました。

とにかく労契法改正準備をしていた平成24年の秋時点から平成28年の現時点までの4年弱の間変化したのは有効求人倍率に見て取れる有効求人倍率の改善=人手不足の深刻化です。調べてみたのですが推移としては以下の通りでした。

厚生労働省が(平成28年)発表した4月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.04ポイント上昇の1.34倍だった。上昇は2カ月連続。1991年11月(1.34倍)以来、24年5カ月ぶりの高水準となった。企業の求人数が増える一方、求職者数が減ったことが求人倍率の上昇につながった。…今どこの企業も頭を抱えている人手不足がくっきり数字に表れています。

それではこれまでの推移はどうであったか遡ってみると以下の通りの発表となっています。
平成25年度平均の有効求人倍率は0.97倍となり、前年度の0.82倍を0.15ポイント上回りました。 
平成24年平均の有効求人倍率は0.80倍となり、前年の0.65倍を0.15ポイント上回りました。

一番底を打った平成21年は驚くほどの数字です。ちなみにリーマンショックが平成20年の秋におこっています。
平成21年平均の有効求人倍率は0.47倍となり、前年の0.88倍を0.41ポイント下回った。平成21年平均の有効求人は前年に比べ28.5%減となり、有効求職者は32.1%増となった。

平成25年はちょうど上向きに推移している途中というところであり、その後も堅調に有効求人倍率は伸びてきたということで人手不足はここ2年半くらいからかなり厳しい状況になりました。

上記の状況から平成25年改正準備段階の平成24年の時は、「無期転換ルール」への対応は「無期転換はある程度選抜した中で行う」というところに企業の考えがあったと思うのですが、現在は、「何らかの形で無期契約にして いくと回答した企業を対象に、有期契約労働者を無期契約に転換す るメリットをどう考えるか尋ねると(複数回答)、もっとも多かったのは「長期勤続・定着 が期待できる」(72.0%)で、これに「有期契約労働者の雇用に対する不安感を払拭し、 働く意欲を増大できる」(57.8%)、「要員を安定的に確保できるようになる」(48. 1%)などが続いた。前回調査と比較すると、「長期勤続・定着が期待できる」 や「要員を安定的に確保できるようになる」が10㌽以上、上昇している(H27.12.18jil「改正労働契約法とその特例への対応状況及び多様な正社員の活用状況に関する調査」結果より)。」ということなのです。

前回調査と比較すると、「有期契約が更新を含めて通算5年を超えないように運用していく」企業も半減。その分、何らかの形で無期契約にしていく企業が、フルタイム契約労働者で23.9㌽増の計66. 1%、パートタイム契約労働者では27.6㌽増の計63.1%と大幅に増大している。」ということでセミナーの内容も無期転換社員の処遇を中心に組み立てる必要があると感じました。

しかしここまで数年のうちに状況が変化していくのを目の当たりにすると、とりあえず平成30年の無期転換の申込権が発生する時点では、無期転換後の労働条件の変更は慎重にしていく方が良いように感じます。

独立行政法人労働政策研究・研修機構(jil)調査結果

http://www.jil.go.jp/press/documents/20151218.pdf#search='JIL%E5%8A%B4%E5%A5%91%E6%B3%95%E5%AF%BE%E5%BF%9C'

先週末のダウンから復活してきました。今週末は7月23日のBBクラブのレジュメ作りに着手できました。これが終われば夏に突入ということで頑張ります。BBクラブの勉強会の参加者がいつもより少ない100人を少し超えたくらいのようなので少し気がかりですがテーマによるのでしょうか。合格者OBの顔を年2回見ることができるのは楽しみであり、合格して15年ほどたっても100人を超えて集まってもらえるのは本当に有り難いことと心から思っております。法改正だけではなく今の労働環境や社労士制度を取り巻く状況も併せてお話しできるように準備していきます。

 2年前の事務所移転時に頂いた蘭の花が無事きれいに咲いてくれました。

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