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社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

無期転換の際の労働条件 別段の定め

2025-07-06 23:38:43 | 労働法

無期転換ルールは、2013(平成25)年4月1日に施行された改正労働契約法によって始まりました。この制度は、施行後10年以上が経過して、無期転換についての理解が薄くなっているように思いましたので取りあげてみたいと思います。

無期転換ルールとは、 同一の使用者(企業)との間で、有期労働契約が更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できる制度です。契約期間が通算5年を超えた労働者が会社に対して「申込み」をした場合に、その時点で無期労働契約が成立し、無期労働契約の開始時点は、申込時の有期労働契約が終了する日の翌日からです。この無期転換の開始時点は間違いやすいので留意点となります。

一般的には無期転換後の労働条件は、有期契約時代と同一の労働条件としている会社が多いように感じますが、有期契約には規定されていなかった「定年」の適用があるなどは労働条件に追加されますので就業規則や契約書に記載することになります。会社さんによっては無期に転換するので労働条件を少し良くしなければならないのではないかと考える場合もあります。労働契約法では、「給与や待遇等の労働条件については、労働協約や就業規則、個々の労働契約で「別段の定め」がある部分を除き、直前の有期労働契約と同一」としています。

この中で「別段の定め」が時として問題になることがありますが、別段の定めをする場合には、やはり適用する就業規則等にその旨を規定する必要があります。例えば有期時代と異なり長い期間勤務してもらうので「転勤」や「配置転換」の規定だけは入れておきたいということはあるかもしれません。別段の定めがどの程度なされるのか、足元の感覚としてはあまりないかなという感じを持っていますが、統計を調べたところ以下の通りでした。

厚生労働省の令和2年の調査では、無期転換の申込権の行使状況は、平成30年・31年度合算で無期転換行使の権利が生じた人のうち行使した人の割合は27.8%、行使せず継続して雇用されている人の割合は65.5%と無期転換行使は意外に少ないです。また、無期転換後の社員区分を見ると「無期転換社員」に転換した割合が89.4%となっており、そのうち「業務量や賃金等の労働条件が共に変化なし」が87.3%を占めているとされており、別段の定めはなされず、有期契約社員の時代のまま、期間の定めがなくなっただけという扱いになっていることが推測されます。

あっという間に暑い夏になってしまい、愛用のスニーカーを履いていても暑く感じ、サンダルを靴箱の取り出しやすいところに出すことにしました。日本もだんだん四季がなくなってしまいそうな気がしますし、この暑さだと8月はどうなるのか、だんだん日本の働き方も夏はほとんど長期の休暇をとるなど気候により変わってくるかもしれないなどと考えています。働き方と言えば、配偶者帯同休職など海外に転勤になった配偶者に帯同する場合の休職を認める会社も増えてきており、コロナ収束後一段と変わってきたという感じがします。会社の中でも、年代ごとの常識の違いにより問題が起こりやすくなっているかもしれず、そのあたりは社労士が調整を担う役割かなとも思うので、まずは自分の常識を整理してアドバイスをしなければならないと心しています。

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