今回のコロナウイルスの影響で大企業から中小企業まで本当に思いがけず厳しい状況になっていると感じます。その中で雇用されている人たちの所得保障については、今回国は既存の助成金である雇用調整助成金を使うことを方針としています。休業手当は調べてみるともともと使用者の責任を幅広くとり、労働者の生活保障と位置付ける意味合いを持っています。今回雇用されている人たちの所得保障は、まず使用者が労働者に休業手当を支払い、その補填を国が使用者に対して雇用調整助成金を使い行うというスキームで、特例措置を設けて徹底的に行うという国の考えが良くわかります。
3月8日と3月22日のブログで雇用調整助成金を取上げていますが、短期間の間にコロナウイルス対応で特例に次ぐ特例措置が発表されています。再度4月1日~6月30日の緊急対応期間として特例が発表され、申請方法が大きく簡素化され、これまでに比べてかなり申請がしやすくなったと思います。社労士としてはとにかく雇用調整助成金の役割を広く普及させ、使用者に休業手当を支払って自粛期間の労働者の生活を安定させることを納得してもらうこと、これが今求められている役割と感じています。
●以下4月1日~6月30日の緊急対応期間の特例が載っている厚労省のサイトです。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html
●申請書類の簡素化リーフに、自動計算機能付き様式の導入による記載事項の大幅な削減とあります。計画届を出す必要がなくなり,また日ごとの休業等の実績の記載の必要がなくなり合計日数のみで申請が可能になったのは大きな簡略化だと思います。
●また、以下の様式ダウンロードの「雇用調整助成金助成額算定書」を使ってみました。実は事務所で金曜日に粗々どのくらいの助成金額なるのかを算定できるエクセルシートを作ってもらいました。ちょうどご相談に来られた顧問先の事例を私が手計算で行った後そのエクセルで検算したのですが、算定書の額はその検算とぴったり同じ保障額になりました。この算定書を使いどのくらいの規模(人数と日数)の休業を行うのかを検討することも可能だと思います。
●ざっくりした計算方法は、次の通りです。
前年の労働保険料申告書の確定保険料の雇用保険料の算定の基礎となった賃金総額を、その年の月間平均労働者数×年間所定労働日数で割り、1人平均賃金額を算出します。その額に支払う休業手当の割合(例えば60%)を乗じた額にさらに助成率(中小企業で解雇せずは90%)を乗じます。そこで出た算定額を、助成額の上限である8,330円と比較します。
8,330円の上限額又は上記算定額でに月間休業延べ日数(1人当たりの休業日数×休業した人の数)を乗じると月間の助成額が算出できます(全体の支給上限日数は、1年間で事業所全体の人数×100日分となります)。慣れてくればだいぶ計算は楽になります。
●雇用調整助成金の様式ダウンロード(新型コロナウィルス感染症対策特例措置用)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyouchouseijoseikin_20200410_forms.html
4月10日の日経新聞の三浦知良選手の「サッカー人として」というコラムはとても良いことが書かれていると感心して毎回読んでいるのですが、今回のコラムを読んで涙が出そうになりました。ニュースなどでも取り上げられているのですが、日本の「すべての行動が制限されるわけではない緊急事態宣言は緩いという声がある」ことに対して、「都市封鎖をしなくても、被害を小さく食い止められた。やはり日本人は素晴らしいと後に記憶されるように。力を発揮するなら今、」とあります。
ニュースを見ていると「緊急事態宣言を出すのが早い、遅い」、「布製のマスク2枚配布についての批判」、「支援の金額が外国に比べて少ない」「休業の基準がはっきりしない」など、批判的なものが多いと感じます。外国と比較してそれほど日本のやり方はまずいのでしょうか。結果としては欧米ほどの爆発を今現在は見せていないということからして、間違った方向性ではないと思えます。経済を止めず緩いと言われる緊急事態宣言で一人一人の自覚により自粛して何とかここを大きく傷つかず乗り切る作戦と考えます。外国の医療提供体制は日本と比較すると思いがけず厳しい、軽い風邪などは1週間くらい待たないと診察してもらえないなどを勉強しました。色々な面から総合的に比較してみて初めて正しい評価が得られると思います。テレビも、配られるお金の点だけ単純に比較したフリップを作り政府のやり方を批判をしているように見えますが、悲しい気持ちになります。今は自分たちの国や政府を批判している時ではなく、それぞれの人が今置かれている状況のなかで工夫をして何とかこの難局を自覚をもって乗り切ることが何より大切だと思っています。