労働基準法施行規則第5条が改正され、労働契約締結時の絶対的明示事項に「期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準」が加わることになりました(平成25年4月1日より)。これは労働政策審議会建議「有期労働契約の在り方について」(平成23年12月26日)において「有期労働契約の継続・終了に係る予測可能性と納得性を高め、もって紛争の防止に資するため、契約更新の判断基準は労働基準法による絶対的明示事項にすることが適当である」とされたことを踏まえた改正です。これまで「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」の第1条に定められていたことが、労基法に定める労働契約締結時の労働条件の絶対的明示事項に移動したということで、内容的な変更はなく、基準から法律への格上げということになるかと思います。なお、この改正に伴い「雇止めに関する基準第1条における契約締結時の明示事項等に係る規定を削除するもの」とされました。
●改正通達で「更新の有無」としての例としては以下があげられています。
a 自動的に更新する
b 更新する場合があり得る
c 契約の更新はしない 等
●「契約更新の判断基準」としての例としては以下があげられています。
a 契約期間満了時の業務量により判断する
b 労働者の勤務成績、態度により判断する
c 労働者の能力により判断する
d 会社の経営状況により判断する
e 従事している業務の進捗状況により判断する
等を明示することが考えられるものであること。
●また、通達は「更新の基準についても、他の労働条件と同様、労働契約の内容となっている労働条件を使用者が変更する場合には、労働者との合意その他の方法により、適法に変更される必要があること。」としています。
さらに以下の通り「 モデル労働条件通知書の改正」も行われることになりました。
※改正省令の施行等に伴い、平成11年2月19日付け基発第81号「労働条件通知書等の普及促進について」の(別添1)から(別添5)までのモデル様式を別添1 から別添5までのように改正し、改正省令の施行日から適用する。
新たな労働条件通知書を探してみたのですが、いつも「渋谷労働基準協会」の合同セミナーでお世話になっている「三田労働基準協会」のHPにいち早くアップされていました。
モデルにおいてはどこがこれまでと違うのか気になっていましたのでチェックしてみましたところ以下で異なっていました。
①これまでは一番後ろに「契約期間」について「『期間の定めあり』とした場合に記入」としていわば欄外に置かれていた内容が一番前の契約期間の項目に移動していたこと。
②契約更新の有無 の選択項目にあった「その他( )」がなくなっていたこと。・・・この( )は何を記入する予定だったのか労働局のHPの記載例をいくつか調べてみましたがどれも空欄でした。
③労働契約法の改正を踏まえて以下の記載が加わっていたこと。…これは記載は自由と考えます。
※以下は、「契約期間」について「期間の定めあり」とした場合についての説明です。
労働契約法第18条の規定により、有期労働契約(平成25年4月1日以降に開始するもの)の契約期間が通算5年を超える場合には、労働契約の期間の末日までに労働者から申込みをすることにより、当該労働契約の期間の末日の翌日から期間の定めのない労働契約に転換されます。
内容的には、ほとんど変更はないということです。
労働契約法・高年法・派遣法の改正に加えて年金の改正も色々とあり、最近追いつくのに大変です。事務所ではミニ勉強会をしてスタッフにとにかく概要をつかんでもらいましたが、まだまだ私自身が頑張って、これから就業規則を始めとした改正による実務対応を考えていかなければなりません。この労働条件通知書もその一つでしたが、ブログを書きながら勉強ができました。時間があるといろいろと調べることができて楽しいです。
TACの講師になったばっかりのことによくガイダンスをしていましたが、その時社労士になってよかったと思うことの一つに「勉強することができる仕事だから」というようなことを話していた頃があります。「勉強することが楽しい」なんて子供の頃は考えもしなかった私ですが、「勉強=新たなテーマ、発見」と考えるとこれはやはり大切なことです。新たなテーマがたくさん見つかるなんて感謝しなくちゃいけないことだとしみじみ思います。