真実を知りたい-NO2                  林 俊嶺

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「属国」首相の振る舞い?

2023年01月30日 | 国際・政治

 岸田文雄首相が2月にウクライナへの訪問を検討していると報じられました。”ゼレンスキー大統領と対面すれば、さらなる支援を求められることは必至だろう”と言われています。防衛費大幅増額のみならず、さらなる出費が予想されると思います。

 日本の富を、アメリカの戦略に沿うかたちで流出させたり、軍事費大増額に当てたりすることによって、日本社会のあちこちで、追い詰められ、困窮する人々が増えていくことは明らかであり、日本が「属国」であることを示しているように思います。
 でも、メディアは、岸田政権を批判しても、陰に陽に岸田政権に圧力をかけるアメリカを批判することはしません。私は、そこに主要メディアに潜む共通の病根があるように思います。
 アメリカは、これまでウクライナへ242億ドル(約3兆2000億円)の支援をしたといいます。
 また、ゼレンスキー大統領のアメリカ議会での演説、”世界の安全保障と民主主義への投資”を受けて、先だって(昨年12月)、バイデン政権は、さらに25億ドル(約3200億円)の追加支援を発表したことが報道されました。バイデン大統領に戦争を終らせる気がなく、ウクライナ戦争による犠牲者がさらに増えることも、何とかしようとはしていないことがわかると思います。

 でも、日本は「平和憲法」をもつ国であり、憲法に則って、ウクライナ戦争の停戦・和解に尽くすべきだと思います。それが、敗戦後「法治国家」となった日本の当然のつとめだと思います。日本は、法的には「独立国」であり、アメリカの「属国」ではないのですから、法や道義・道徳を尊重する国として行動すべきだと思います。それが、ウクライナのためだけでなく、日本のため、また、世界のために求められていると思います。
 ところが、本当は、日本はいまだにアメリカの「属国」であり、「法治国家」ではないのでしょう、アメリカの戦略に沿うかたちで動いています。日本の主要メディアは、そこに立ち入ろうとしません。「属国」であることを受け入れているように思います。

 ふり返れば、ウクライナ戦争が始まるまでは、日本はロシアや中国と共存してきたのであり、これからも共存できないわけはないと思います。そういう意味では、森元首相鈴木宗男議員の発言は、自らの体験に基づく発言であり、ロシアとの関係に関する限り、間違ってはいないと思います。
 また、”国力から見てロシアが負けることはないと考える”という主張も、その通りだと思います。ロシアは大量の核兵器を所有する国です。二人の発言を「老害」などと小馬鹿にする人がいるようですが、メディアの情報を妄信して、一層犠牲者が増えることを考慮しないのは、大きな間違いだと思います。
 人命よりも領土を重視するような発言を続けるゼレンスキー大統領や、アメリカの覇権や利益のために、戦争のさらなる拡大を躊躇しないバイデン大統領の姿勢にこそ問題があることは、その発言や諸事実を冷静に見つめれば、専門家でなくてもわかることだと思います。

 下記の文章は「検証・法治国家崩壊 砂川事件と日米秘密交渉」吉田敏浩(創元社)から抜萃したものですが、アメリカが自国の覇権や利益のために、日本の司法に介入した事実が示されています。
 また、日本に対する二発の原爆の投下を含め、第二次世界大戦後も戦争をくり返し、数々の戦争犯罪を犯してきたのはアメリカであることを見逃してはならないと思います。
 自国の覇権や利益のために、ロシアや中国と共存しようとしないのもアメリカです。アメリカは、自国の覇権や利益の維持にやっきになっているのだと思います。
 だから、岸田首相の批判で終わらせず、法治国家として、ウクライナ戦争の停戦・和解のために努力するべきだと思うのです。

 現在、日本やアメリカは、「自由で開かれたインド太平洋(Free and Open Indo-Pacific)」などという言葉を使って、中国を非難し、悪者にしようとしているように思いますが、中国が違法にインド太平洋を支配しているというのであれば、きちんと指摘して、法的に解決すべきだと思います。
 台湾に対する大量の武器の売却や供与は、「自由で開かれたインド太平洋」という言葉が、印象操作でしかないことを示しているのではないかと思います。
 私は、ウクライナに対する軍事支援や台湾に対する武器の売却や供与の背景には、アメリカの覇権の衰退があり、アメリカは座視できない状況に追い込まれているのだと思います。


 三井物産戦略研究所の経済調査室、小村智宏氏によると中国は、アメリカを抜いて工業生産額世界一となったといいます。GDP構成比や一人当たりのGDPでは、まだアメリカと差があるようですが、工業生産額実額や世界シェアで中国がすでにアメリカを抜いているという事実は、注目に値すると思います。
 そして昨年12月、中国の習近平国家主席が中東のサウジアラビアを訪問し、サルマン国王と会談して、主要な原油の調達先である中東・湾岸産油国との関係の強化に努めたと言われています。だから、習近平国家主席のこの訪問は、”サウジアラビアとアメリカとの関係にくさびを打つ狙いがある”と言われるのだと思います。サウジアラビアが、プーチン大統領や習主席を、バイデン大統領よりも手厚く出迎えたという報道もありました。サウジアラビアがアメリカと距離を置くようになり、アメリカの立場が危うくなっていることを示していると思います。
 また、中国は巨大経済圏構想「一帯一路」のもと、サウジアラビアでインフラ投資を行っているといいます。サウジアラビアは、アメリカが安全保障上の脅威だとして輸入や販売の禁止措置をとっている中国の通信機器大手「ファーウェイ」とも協力し、5Gの普及を進めている、とも聞いています。

 さらに、欧米諸国による対ロシア経済制裁が続く中、サウジアラビアのサルマン皇太子は、ロシアのプーチン大統領と電話会談を実施し、2国間関係の全ての領域で、双方の関心を満たす方法で強化していくことで合意したという報道も目にしました。アメリカに追随していたサウジアラビアのこの変化は、見逃すことができないことだと思います。

 また、昨年イランとアルゼンチンが、BRICS(Brazil、Russia、India、China、South Africa、5カ国)への加盟を申請したということも、これからのアメリカが、今まで通りにはいかないことを示しているのではないかと思います。
 中国は、ドルの代わりに人民元などBRICSの諸通貨を決済に使う、既存の米国中心の経済体制から全く独立した国際経済システムを作ろうとしているともいわれています。
 そうした動きと関連すると思いますが、先日朝日新聞は、”南米共通通貨「創設めざす」”と題し、南米最大の経済大国ブラジルと2位のアルゼンチンが「共通通貨」の創設に向け協議を始めることで合意したという記事を掲載しました。アメリカ離れのあらわれのように思います。
 
 だから、ウクライナ戦争の背景に、また、アメリカの対中国政策の背景に、アメリカの覇権の衰退があることを見逃してはならないと思います。アメリカは、戦争をしてでも、ロシアと中国を孤立化、弱体化しなければ、莫大な資金によって支えられている社会が崩壊しかねない状況に追い込まれてきているのだろうと思います。

 イングリッシュ・プラウダは、ロシアのドミートリー・メドヴェージェフ安全保障会議副議長が、ロシアの武器は枯渇しないと語ったことを下記のようにつたえています。 
 Russia has sufficient stocks of weapons and means of destruction, Dmitry Medvedev, Deputy Chairman of Russia's Security Council said during a meeting of the working group of the military-industrial complex. The participants of the meeting discussed control measures over the production of most popular types of weapons, military and special equipment, Interfax reports.
 だから、”ロシア軍の弾薬や高精度ミサイルはほぼ枯渇”というような、欧米側の情報も、妄信してはいけないと思います。

 下記は、「検証・法治国家崩壊 砂川事件と日米秘密交渉」吉田敏浩(創元社)から、”「司法の独立どこへ」、真実を知った砂川事件元被告の怒り”の一部を抜萃しました。
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               「司法の独立どこへ」、真実を知った砂川事件元被告の怒り

 2008年4月10日に新原昭治がアメリカ国立公文書館で、マッカーサー大使の砂川裁判干渉に関する一連の文書を発見したのち、その事実は日本の新聞各紙で報じられました。たとえば同年4月30日の「毎日新聞」には「米大使、最高裁長官と密談」「『司法の独立、どこへ』元被告、怒りあらわ」の見出しで記事がのり、砂川事件の元被告で、1957年事件当時、明治大学の学生で抗議デモに参加していた土屋源太郎氏が、「司法の独立はどうなるのか。外国の大使に長官がなぜ審理見通しを語らなければならないのか。けしからん話だ」とコメントをよせています。
 その土屋氏(79歳、静岡市在住)に後日、筆者も話を聞きました。1959年3月30日、東京地裁での「伊達判決」の日、土屋氏は「おそらく有罪判決がでるだろう」と思っていたところ、「被告人は無罪」という予想外の判決が言いわたされ、うれしいというより以前に大変驚いたといいます。そして「米軍駐留は違憲」という判断がくだされたことを知り、「自分たちの主張そのものじゃないか」と、思わず胸が熱くなるのを覚えたそうです。傍聴席で一瞬ざわめきが起こったあと、法廷は静まりかえり、判決文を淡々と読みあげる伊達秋雄裁判長の顔を、誰もが食い入るように見つめていたと、土屋氏は記憶しています。
 しかし、検察が東京高裁へ控訴するという通常の手続きではなく、いきなり最高裁に跳躍上告したことは予想外だったと同時に、直観的に「何かおかしい。何か裏があるのではないか」と思ったそうです。
 最高裁では、弁護人の人数が制限されそうになったり、異例のスピード審理がおこなわれたりしたので、「跳躍上告をして、やっぱり安保改定のために『伊達判決』を一日も早く、くつがえそうとしているのだろう」という印象を抱いたといいます。だから、59年12月16日の最高裁判決の日は、「不当判決が出るだろう」と予想していたそうです。案の定、判決文を事務的に読みあげる田中耕太郎長官の口から、「原判決を破棄する」、「米軍駐留は合憲」の逆転判決が言いわたされたのでした。
 土屋氏は、アメリカの国立公文書館で砂川裁判干渉に関する文書が発見された、という事実を「毎日新聞」の記者から知らされ、コメントを求められたとき、「やっぱりアメリカからの裏工作があったのか」と合点がいくと同時に、「しかし、これほどまで露骨に干渉していたのか」と驚いたそうです。そして、「憲法が保障する三権分立が侵害されたことになる」と怒りがわきあがるとともに、「このままにしてはおけない。真相を徹底的に明らかにしなければならない」と心に決めたといいます。


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