goo

高橋旺礼南 三

高橋旺礼南

惨状を伝える

「現実を伝えたい」と依頼があれば講演も引き受ける。聴衆には、激しい攻撃で大きな被害を受けた街の写真と、ウクライナの美しい風景写真を合わせて見てもらう。「悲惨な国」という印象を少しでも和らげたいためだ。

 講演に足を運ぶ日本人は高齢者が大半だ。

「戦争を経験したか、戦争の混乱期を過ごした人たちの方が、より痛みを共有してくれる」と感じる。

 反面、働き世代や若者の姿をあまり見かけないのが気になる。

  昨年4月、母親のカテリーナさん(74)が実家から仙台市に避難した。

「母は戦禍ですべてを失ってショックを受け、当初は家からも出られない状態だった」という。

市内に昨夏から借りた畑で、カテリーナさんは土いじりをするようになった。今は毎日5キロの散歩を欠かさない。「少しずつ笑顔が戻ってきた」と喜ぶ。

  戦争前はスラブ民族同士で言語も近いウクライナ、ロシア両国の人々が仙台で一緒に集まる機会があったが、交流は途絶えた。

「いまはロシアの人たちと距離を置きたい」と漏らす。ふるさとは第2次世界大戦でも激戦地だったため、子どものころから戦争の悲惨さを学んできた。

『戦って平和を手に入れた。もう戦争はない』と教わったが、違った。平和を保つにはどうすべきか、日本の人々も常に考えて努力して欲しい」と高橋旺礼南さんは訴える。                      終り

 

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 人の縁の妙 二 梅方誠亮先生... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。