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その7・カネと幸せの関係は変わるのか

11の重要問題・その7

カネ学入門(著書)

カネと幸せの関係は変わるのか

著者・藤原敬之

 大学卒業後(一橋大法学部)農林中金、野村投資顧問、クレディ・スイス、日興アセットマネジメントといくつかの機関投資家でフアンドマネージャーをしていた私は、40代は億を超える収入があり、ずっと長者番付に名前が載っていました。

 でももともと金への執着がなく、すべて使い切っています。靴、文具、オーデイオ、時計・・・自分ほど無邪気にカネを使った人間は、そう多くないでしょう。多額の金を使ったことで、初めて分かったことがあります。

 仕事柄、数百億円の資産を持つ大富豪たちと接する機会もありました。

彼らに共通するのは『だれも信用しない』ということ。

 カネはあるのに幸せそうに見えませんでした。

資産を守るプレッシャーに支配されていた。

 ではカネと幸せの関係はどう考えればいいのか。

機嫌よく生きるためにはカネは必要です。カネが幸せをつかむ手段であるのは間違いありません。でも多くの日本人は、『目的』と『手段』を間違えているような気がします。

もちろん、アングロサクソンもカネに執着しますが。彼らはその先にある自分の幸せを考えている。

 1億円のカネを貯めたらこういう生活をしたいというビジョンがある。

日本人は目的もなくカネを貯めようとしていると思う。自分にとって何が幸せなのか突き詰めていないのでしょう。

 私が日本人らしいな、と思うのは最近増えている京都旅行をする団塊カップルのカネの使い方です。

 タクシーを使って観光すれば名刹を3か所見て回れるのに、タクシー代がもったいないからと電車とバスを使い、1か所しか見られない。

 カネは、自分が必要と思う「時間」を買うために存在しているという感覚がない。

 この先日本人の幸せの物差しがどう変わっていくのか。最近怖いな、と感じるのは、20代の若者の感覚です。「ユニクロの服とカップめん」で満足している。

ある公的機関が、「今あなたは幸せですか?」と調査したら、『幸せ』と答えたのは20代が一番多く,50代が一番すくなかった。

 ブラック企業だ、就職氷河期だ、と騒がれているのに本人たちは今の生活を「幸せ」だと感じているの

です。もちろん、ユニクロとカップ麺の生活を幸せと感じるのは悪いことじゃありません。

 でもあまりに狭い世界、狭い価値観の中に閉じこもり、ほかの世界も知らずに、「幸せ」と信じ込まされているような気がします。

 本当に今の若者たちが幸せなのかもっと大人が「人生は楽しいぞ」と若者に伝えることが大事だと思います。 おわり

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