goo

中国時代劇「清越坊の女たち~当家主母~」①2021年

 

 予告編によると宮廷ドラマ「瓔珞<エイラク>」」の制作者なのだそうです。「清越坊の女たち~当家主母~」と瓔珞<エイラク>」のプロデューサーが同じとは以外です。なら、今後ドロドロした宮廷ものではなくて、「清越坊の女たち~当家主母~」のような志の高いドラマを作ってほしいと願うのみです。

 中国時代劇ドラマは女性向けなのか、宮廷ものや人知を越えたようなフージョンラブロマンス、或いは仙人や江湖(侠客)ものばかり放送されていてウンザリします。そうでなければたまに男性も観られるような戦国時代劇。

 中国放送CCTVが日本語字幕放送を止めてしまったので中国ドラマはCSやBSで観るしかなくなってしまいました。志しの高いドラマは「月に咲く花の如し」と、この「清越坊の女たち~当家主母~」二つだけのような気がします。

 

   「清越坊の女たち~当家主母~」

 清朝、江南で優れた織物技術を持つ第一人者で、女性の身分の低さに異を唱えた女性。官僚や男性たちの度重なる嫌がらせや妨害、禁固にも負けないで立ち向かって行った主人公、沈翠喜(しんすいき/ジアン・チンチン)の生き方が素晴らしいです。予告編や1話からは冷酷非道の主人公として登場しますが、ドラマが進むに従い、伝統技術を守っていくことの厳しさ、正義感、他者への惜しみない博愛を見せる沈翠喜。終半は女性の自立に焦点を当てた物語に進行していきます。カッコイイ女性です。

 1話ではこのようなナレーションから始まります。

 緙絲(こくし)またの名を”刻絲"とは、中国の絹織物の神髄であり、最も伝統的な技法を用いた絹織物である。鑑賞、装飾の両面を持つ中華文明で最も貴重な文化財でもある。

 清朝、乾隆帝年間の出来事を描いたこの物語。緙絲の製作に励むある女性が封建思想と闘い、緙絲の技術学校を創設した。緙絲の起源から隆盛に至るまでの過程がつぶさに描かれている。主人公の波乱の人生から中華文明の奥深さを感じることだろう。物語が今ゆっくりと幕を開ける。

 

 水の都、美しい蘇州を舞台に繰り広げられる一流の芸術とも言えるドラマ。織物、刺繍の美しさ、工房、住居の装飾、女性主人公二人の衣装や髪形、映像。

 何より脚本が素晴らしいです。一つ一つのセリフが含蓄に富み感動的です。1話では冷酷な主人公が夫と妾の逢引きに押しかけ激しい言い合い、罵りから始まります。任家の女将、清越坊の沈翠喜は妾の曾宝琴を合院(妓楼)楽戸上がりの卑しい女と罵り、妾の曾宝琴は女将、沈翠喜を物乞い女と罵り、二人の女性の対立と立場が鮮明になります。

 元々、妾の曾宝琴は官僚の娘で、父親の失脚で合院送りになってしまった身分。曾宝琴と夫、任雪堂は幼馴染で愛し合っていた二人で、雪堂に見受けされ別宅に暮らしていました。任家の女将、沈翠喜は貧しい船乗りの娘で両親を亡くし任家に滅私奉公。人一倍頑張って任家の緙絲技術を習得しました。無理を承知で任雪堂に嫁入りをしました。雪堂には愛する人がいて形だけの夫婦ですが、沈翠喜は任家の全てを取り仕切って世間からも認められている人物です。

 絹織物に携わる全ての人々を助けるために業者組合を設立しました。そのために官僚に疎まれて雪堂は事件に巻き込まれて行方不明になり、沈翠喜も危険な目にあってしまいます。

 7年後、8話から余命短い天才書生、魏良弓が登場し沈翠喜と曾宝琴はわだかまりが溶けていくのです。

 

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« チョ・ドクペ... 中国時代劇ド... »