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韓国映画 「JSA」より キム・グァンソク 「宛のない手紙」

 

 

 

 
 2001年に日本公開されたイ・ビョンホン主演の韓国映画「JSA」を4月に観ました。大勢の方が観て大ヒット作品になった映画です。今観ると更に感慨深いものがあります。映画を観るまでは、板門店(パンムンジョム)で国境を挟み両国の兵士が立つ光景が、まるでフィギアのお人形のようで緊張を感じることはありませんでした。
 映画では国境を守る4人の南北の兵士に友情が生まれ、生身の兵士が笑い、しゃべり、肩を抱き合い詰め所で短い間過ごします。ですがそれは絶対に超えてはいけない一線で、その後悲劇が起きてしまいます。OSTで使われたキム・グァンソクの張りつめた歌声が淋しくて悲しい。でも、凛とした力強い歌声でもあります。
 
 
 4月23日に南北両首脳が板門店の一線を越えました。簡単にまたぐだけのことが、出来なかった遠い年月です。
 朝鮮戦争が、平和条約によって、決して正式に終わったわけではなく、停戦協定しかないことを考えれば、いまだ韓国・アメリカと北朝鮮は国境38度線上の共同警備区域(JSA)では緊張状態が続いています。
 韓国の若者はキム・グァンソクの”宛のない手紙”のように徴兵を受けて旅立ちます。戦争と対立の中で長年、緊張と恐怖の中で韓国の人々は過ごしてきたでしょう。平和への渇望は日本人には理解できないかもしれません。
 6月12日は世界史的なアメリカ・北朝鮮会談が行われました。初めの一歩です。ここから歩いていくことでしょう。米韓の主要な軍事演習が無期限の停止になるという報道もなされています。
 「北朝鮮も米韓軍事演習を止めてほしい、韓国も軍事演習は止めて若者の徴兵制を止めたい」というのが本音なのかもしれません。
 
 6月13日に行われた韓国の首長選挙の結果に胸が震えました。現大統領ムンジェイン(文在寅)支持である与党の知事や市長が17か所のうち14の選挙区で当選。
 ソウル市長に3期目当選したパク・ウォンスンは「今こそムン・ジェイン政府とともに」と強調しました。
 「ろうそくのあかりで一つになった国民の意思が、今日の大韓民国を作った」として「市民民主主義の価値を市政の第一原則に据える」「ソウルはこれから各者生き残りの世の中を終わらせ、共同体的暮らしに基づく社会的友情の時代を切り拓く」と約束しました。
 圧倒的に保守が強いパク前大統領の地盤である慶尚北道と大邱は変わらず保守が勝ちましたが、与党も善戦しています。(大邱はキム・グァンソクの出身地。幼いころにソウルへ引っ越しましたが、大邱が故郷だと言います。もともと大邱は左翼勢力の強い地域でしたが、パク前大統領の反共政策で左翼が壊滅、大勢の大邱の人々はソウルや他の場所に引っ越ししたという経緯があります)
 
 韓国の国民が一年前に吹かせた風。民主主義と平和と豊かな生活を渇望した人々は温かい大統領を選び、さらに市長や知事を選びました。民主主義を前進させて、ゆっくりと平和への道のりを歩んでいきます。どれほど長い旅路だったことでしょう。国民が世の中を変えるのですね。日本人としてとってもうらやましいです。
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