人が生きる世の中(サランサヌンセサン)
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中国ドラマ「清越坊の女たち~当家主母」➂愛の成就
魏良弓への思慕に葛藤する翠喜の心です。
雪堂、7年が経った。この世にいないことはわかっている。
雪堂、認めるより忘れるほうが難しい。
7年余。幾度寂しさに打ちひしがれ月影に感傷的になったことか
雪堂、忘れるより独りでいるほうがよほど難しい
なぜ男は後妻を娶れるのに女は貞節を求められるの?
雪堂、独りでいるよりも道徳に背くほうが難しい
人は草木ではない
女も男と同様に血が通っているし感情がある
あなたが殺した心はあの人が生き替えらせてくれた
道徳に背くより今を受け入れるほうがよほど難しい
このドラマの本質かもしれない翠喜の心情
お互いの愛を確認した2人は翠喜の屋敷で静養することにしました。魏良弓は翠喜の工房を初めて訪れ、病のことも忘れ絵画の背景などを解説します。
翠喜は生徒のように聞き、魏良弓は秀山に教える先生のようにわかりやすく説明します。時には翠喜に絵画から受ける印象を質問し、翠喜は感じたままに絵の感想を伝えます。琴棋書画の知識がなくても絵を感じる琴線は特別なものがある翠喜。魏良弓の心を打ちます。
難しい鴛鴦の刺繍に、「私にできると思う?」
魏良弓「奥様は蘇州の織物業を率いる人。度量と気概を持っている。技術があるのだから悟れば早い。無理に求めようとしても手に入らないないものだ。手放してみたらわかる時がくるかもしれない。信じている」
翠喜という名前。「この世でもっとも美しい名前だ」
離れの裏門は開くと目の前が川
「長き川の先に広がる大海原か。翠喜、ここから出たいと思ったことは?なかったらこの扉を残してはいまい」絵のような2人。
2人が恋仲だとの噂が町中に広がり、陰謀で罠を仕掛けられたとき、魏は
「私は誓う。2人が恋仲だとしたら、来年の春までに命を絶つ」(春までの余命で)
翠喜を画く魏良弓。
翠喜「絵になると私はこんな感じなのね」
魏良弓「以前ならこの絵に色を塗っていただろうが今ならわかる。飾らずありのままのほうが美しく真実に近いと」
魏良弓「私の心がこれほど穏やかだったことはない。いつも思う。生まれたときから年寄りのようだった。あなたに出会うまで、私の心は生気もなく沈んでいた、翠喜よ、ありがとう。生涯で一番の人だ。出会えたことが私の最大の幸せだよ」
魏良弓「私に教えてくれた。この世には人の醜い行いに何度遭遇しても心穏やかなままの人がいる。善良な人がいるのだと。
翠喜「買い被りすぎよ。私はただ。誰からも認められる善人でいたいだけ」
魏良弓「わかるよ」
魏良弓「弾圧に屈してばかりではいけない。私は立ち向かうあなたが好きだ。感情を抑えている時よりもあなたらしく美しい」
翠喜「立ち向かう私が好き?世に好かれるのは淑女よ」
魏良弓「ゆがんだ優しさなど私からみれば醜いだけだ。世の中愛や慈悲もあれば憎しみや恨みもある。厳しく苦しい人生を必死に生きていれば気性も異なってこよう。あなたは李照に狙われた善人だ。常に屈するべきではない」
翠喜「私は緙絲(こくし)を習得した。緙絲を織っている時だけは心穏やかになれたわ。天地を創造できるかもとも思った」
魏良弓はそれに対して昆曲を吟う
「ずっとあなたを探していた 花のように美しいあなたに なれど月日は水のごとく移ろいゆく」
魏は一晩中吟う
小舟に乗って
魏良弓「外出は好まない。ただ暮らしの息吹を感じるのは好きだ。以前の私は厭世感の塊だった。母を亡くした悲しみに浸っていた。母が死んだのは私のせい。自分の体を痛めつければ早く母に会えるだろうと。でもある時思ったんだ。多くの人々が苦しくとも前を向いて生きている。私も同様生き抜くべきではないかと。そんな心が残っていて良かったよ。あなたと曽姉さんに出会えたし美しい物をたくさん見られた」
魏良弓「今はただもっと早くあなたに出会いたかった」
魏良弓「曽姉さんからは何があろうと生きねばならぬことを、あなたからはこのような生き方もあると学んだ」「女子として制約を受けながらもあなたたちは懸命に生きている。男たる私が無気力や退廃的でいいはずがない」
魏良弓「遅きに失したが翠喜よ。私はあなたと生きていたい。冬には一緒に蝋梅を見た。春になったら満開の花々を見よう」
種子売りの小舟。種子をすべて買って羽織をわたす。善行を広めたいからご主人の名前を
魏良弓「徳を施したのになぜ素性を秘密に?」
翠喜「悪評のほうが私には合ってるもの、それに種子を買うことの何が徳なの?あの母親も腕を頼りに生きる職人よ。助けなど必要としてない」
魏良弓「あなたが組合を作った理由がやっと分かった」
翠喜「私はただ生糸の値段が安定しないと皆が窮すると思っただけよ。組合を設立すれ織造局の怒りを買うけど私が立ち上がらなければ申し訳が立たない。私を緙絲の第一人者と称してくれた人たちに」
魏良弓「李照の標的は任家だけではないのに。たった1人で李照の怒りや恨みを受け止めている。翠喜。あなたはすごい人だ。翠喜。我々に残された春は1度しかない。気がふさぐようなことは考えずお互いとこの一瞬を大切にしよう」
翠喜「共に過ごせること自体が夢のようだわ」
魏良弓「この夢が静かに流れていくことを願う」
♪♪湖面に散る杏の花
霧雨が洗い流す想い
傘を差す表情は
過ぎし日の少年のよう
夢で逢う君の笑顔
浮かんでは消え
あの頃に戻りたい
水際で酔いしれる
名残惜しき出会いの頃よ
忘れられない
鴛鴦や蝶はいなくても美しきこの世
風に乗り 空高く昇りたい 君には遠く及ばない
この心が変わらないなら
死など惜しくない
もやの中の邂逅
夢か現か幻か
愛とは痛みを伴う幸せ
おざなりにはできない
誰が霊魂を探せるのか
私は糸の切れた凧
春の到来を待たず
白く染まるあなたの髪♪♪
鴛鴦の刺繍完成
魏良弓「春が来た。あなたの「鴛鴦戯水」もうじきに完成だ」
翠喜「この鴛鴦は私たちよ」
魏良弓「いわゆる立徳 立功 立言は朽ちてもいい
だが あなたとの仲は永遠に朽ちてほしくない
なんて幸せなひとときだろう
あでやかな春の日
隣にはあなたがいる
桃の花が咲き
運河の水も翠に染まった
明日はこの上ない晴天になろう
翠喜
明日一緒に舟に揺られないか?橋の下で世間の与太話をまた盗み聞きしたい
この世は美しい物にあふれてる
一緒に見に行こう」
刺繍を指している翠喜の肩にもたれてかけて魏良弓は静かに息をひきとるのでした。
知識人の魏良弓一言一言が珠玉の言葉です。愛されて褒められて尊敬されて認められて勇気をもらった素晴らしい愛の言葉の数々。これからの果敢な人生を歩む翠喜に希望を与えました。自由に女性たちが生きていける世の中へと翠喜は動き出していきます。いつでもどこでも魏良弓は私の側で一緒にいると。
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