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中国ドラマ「霊と肉 下放された資本家の息子(灵与肉)」(2018年 42話)

 

  中国ドラマ「霊と肉 下放された資本家の息子(灵与肉)」は29話まで辛いドラマでした。

   中国で1958年に起きた反右派闘争は、55万人の右派と呼ばれる文化人、知識人が、失職などの憂き目に遭いあるいは死亡し辺境への労働改造所に送られるという痛ましい負の歴史です。

「霊と肉」も都会から砂塵の寧夏省、賀蘭山へ労働改造所送りになり、その後釈放された農場で辛酸をなめつくした人たちの物語です。さらに1966年から始まった反知性主義運動の文化大革命時も労改出身ということで何かにつけて糾弾、つるし上げられました。22年間理不尽な目にあい糾弾されて意地悪されてきた学者、文化人たち。1話から29話までは主人公や友人の作家は人格を踏みにじられ続けます。

 1977年に文化大革命終結宣言があり人間性が解放されました。29話ラストで文革が終わり人々が喜び祝います。主人公の仲間には詩人、米国でも高名な医者もいて、辛くても知識だけは忘れずに持ち続けていようと、艱難辛苦を乗り越えてきました。

 そしてそれらの人々が国家を恨むことなく、人民のために役立つ生き方を選び、開放政策のもと羽ばたいていったことが、”現在の中国を作り上げた”といっても過言ではないと思います。

  主人公、許霊均(ユー・シャオウェイ)にNHKドラマ「大地の子」の陸一心をみるようでした。過酷な境遇に置かれてもくじけません。それどころか、前へ進んでいくのです。人としてなんて立派で荘厳なのでしょう。

  「霊と肉 下放された資本家の息子(灵与肉)」は作家、张贤亮の同名小説をドラマ化しました。

 

 出演  于小伟(ユー・シャオウェイ)  孙茜(ソン・チェン) 李心敏(リー・シンミン) 尚铁龙(シャン・ティエロン) 赵毅(チャオ・イー) 王伟光(ワン・ウェイグァン) 赵宁宇(チャオ・ニンギュ)

 

 許霊均を演じたユー・シャオウェイと孫見利を演じたチャオ・イーは「闖関東外伝」(2013年)では兄弟を演じていました。「霊と肉 下放された資本家の息子(灵与肉)」のチャオ・イーは良かった。名俳優なのですね。ユー・シャオウェイは「麗王別姫」でも善人の役でした。

 

     あらすじ

新中国の誕生前夜、資本家である父親は11歳の許霊均を置いてアメリカに渡った。 1960年代初頭、父親が資本家だったため、大学教授だったにも関わらず右派に誤って選別された許霊均(ユー・シャオウェイ)は、賀蘭山農場の第7隊で労働に明け暮れる。

 農民で美しく親切な李秀芝と結婚したが、姑に資本家という最下層の人間として見下される。 20年間、様々な不誠実な状況に直面するが、許霊均は夢をあきらめず、教師として農村の子供たちを芸術的な才能に育て、镇北堡 第7隊の仲間や労働者に影響を与えた。

 第11回中央委員会第3回全体会議の後、許霊均は文化研究のために銀川に転居する。文化の価値を証明するために、許霊均は映画とテレビ会社を設立し、賀蘭山・镇北堡 を開発し、全国的に有名な映画のロケーション現場を構築し、文化の力で農場労働者を豊かにした。

 許霊均の仲間に、つるっぱげの孫見利と筋肉ムキムキの謝狗来、詩人の姜文明がいて安心でした。民謡を歌う馬車を引く郭老人も味方です。老白干は意地悪いことばかりするので憎くてしようがありませんでした。

         

 日本人だからよけいに下放されていた22年間はかわいそうだと思いました。その後80年代90年代2000年代に生まれた中国の若い青年たちは、親の世代を教訓として生きているのでしょう。今の科学技術の発展を見るとおのずとわかります。負の歴史が良い教訓になっていて、過ちや間違えを認める国の人民として誇りをもっているのでしょう。

 

 *1977年、胡耀邦が党中央党校副校長に任命され、党校の業務を握ると、冤罪事件の名誉回復が開始された。1978年4月には「反右派闘争自身に誤りはなかったが、問題は拡大化した事だ」として、誤って右派認定された人に対し正当な待遇をするよう指示した。9月には政治的な名誉回復や、剥奪された党籍の回復などが図られ、1980年5月までに右派の名誉回復は完了した。

採点10点満点中7点

 

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