マガジンひとり

オリンピック? 統一教会? ジャニーズ事務所?
巻き添え食ってたまるかよ

肥大する刹那

2020-11-30 18:54:48 | メディア・芸能
人気商売はつらいよ。私が見たロンハーの最も面白い回は美人タレントがガチャガチャやり合う「格付けしあう女たち・まぜるな危険SP」。2015年2月と4月、格付け10名の顔ぶれが少し違うが2回ともダレノガレ明美と重盛さと美が大活躍。その後台頭してきた藤田ニコルや女芸人のゆりやん・おかずクラブ・ガンバレルーヤらと共にロンハーガールズ世代交代を印象付けた。もう5年経つんですね。深夜に移って翌年にはコロナ禍、低調になってきてつまらない回が続き、2ヵ月ほどチェックしていなかった間に深夜帯では初の格付け女が行われた(11月10日)と知り見てみた。

ノガレ・重盛以外の8人は「まぜるな危険」と重ならないフレッシュな顔ぶれで、序盤からこの2人に覇気がない。案の定1位・2位という「男と付き合ったらダメになる」悪い評価となり、重盛いわく「格付けって人として欠陥のあるメンバーでディスり合う感じと思ってたんだけど、きょうはしっかり者が多いので、マイナスイメージの付いちゃってるダレノガレさんと私は駄目だろうなって2人で話してた」。さらに、じゃあどんなメンバーがいいのと問われ「遠野(なぎこ)さん・misonoさん・脊山麻理子(呼び捨て)」。有吉「いいねえ」。有吉は前にもロンハーで脊山のことを「ヤバイ風俗嬢みたいで嫌いじゃない」と。

何も芸がないが呼ばれればどんな番組でも出たい。醜態をさらしても平気そう。なるほど風俗嬢だ。いや普通の風俗嬢は心身のストレスが大変だと思うので、ヤバイ風俗嬢。




きれいな女はきたない。若い美人でも、人生を通じてみると女は男より弱い立場に置かれ、より資本主義に隷属せざるをえない。なので若さや美貌をお金や地位に換えるよう仕向けられ、すると怪しい男たちがたかってくるという寸法だ。管理売春のオーナーがいくつも店舗を持ち、女の募集や管理やトラブル処理などでさまざまな業者・半グレ・不良が出入りし、権力者に上玉の女を融通したりする、秋元康のAKBとはそういう商売である。

またまたロンハーの話題で恐縮ですが、かつてツイッターでロンハー三賞というのをやっていて、いまは該当なしの週がずっと続くからロンハーそのものを見なくなったわけですが、初めて三賞独占を果たしたAKBの指原という女(2016年)。売れっ子芸人を含む10人の男を彼女がランキングする企画で、「わたし潔癖なので5位のヒロミさんからは洗濯物を一緒にできない」という一方「浮気山ほどしたんや」の陣内智則を1位に据えた。世の女たちに配慮するとすれば、浮気をギャグにするような男はたとえポーズでも退けるのだろうが、男相手の人気商売で競わされ、そこでトップをうかがうようなたくましい女は、精神的に管理側の権力者に同化し、うわべはきれいでも心は不潔になるのだ。








現代の職場環境は二極化が著しい。
2015年8月の猛暑の日、東急電鉄の駅構内で、階段下の高さ1メートルほどの小さな扉が大きく開かれていた。中を見たら、汗みどろで真っ赤な顔をした老人男女2人が壁際にうずくまっていた。駅構内の清掃担当者で、そこは清掃用具も置かれた待機室だという。斜めの天井は低く窓はなく広さは1坪ほど。扉は必ず閉めておくように電鉄から指示されていたが、暑くこもった熱気で気分が悪くなり、外の風を入れようと扉を開けた。私が目撃したのはその一瞬だったのである。
こんな現場がある一方、最近ではあえて「見せる」清掃もある。空港や巨大モール、レジャー施設、美術館などでは、若者たちが一点のシミもない制服を着て、清掃道具を積んだカートを押して歩いている。「ここでは清掃員まできれいでカッコいい」とアピールし、客の施設への憧れを強める。時給は1200~1300円と高めだ。 —(中沢彰吾/東大卒貧困ワーカー/新潮新書2017)

人生は危険な快楽の誘惑に満ちている。「誘惑に陥れないでください」というのはクリスチャンの典型的な祈りの言葉だ。人を誘惑に屈しやすくさせるものは、人を未来志向ではなく、今さえよければいい快楽主義に向かわせる。私が行った時間の感覚についての心理学研究では、現在志向の快楽主義者はあらゆる常習性物質や常習行為に屈しやすいことが明らかになった。これは、快楽主義に支配されているということが、絶え間なく目新しいものや強烈な感覚を求めていることを意味するからだ。
そういう人の決断は常に、自分がどう感じているか、まわりの人たちが何をしたり言ったりしているか、心をそそられるものはどんな見かけか、どんなにおいか、どんな味か、といった目の前の状況により下される。決して未来志向の人々のように、先々のリスクやコストにまでは考えがおよばない。つまり、気に入ったものがあるとそれを手に入れ、楽しみ、喜びを引き出す—そして、それに依存するようになる。こうして依存症は始まる。 —(Pジンバルドー、Nクーロン/男子劣化社会/晶文社2017・原著2015)


トランプはツイッターを始めるまではあそこまでひどい人格ではなかったと聞く。人は集団を形成しなければ生きられない。自分を測るのに他人の言葉や顔色が欠かせないし、ほめられればうれしいからかまってくれる人の望む方向へ本能的に寄せていく。星空サラだってそうだ。まして社会経験の乏しい子ども時代からスマホ(バカホ)とSNSで他人とつながっている世代はどうであろう。自己愛は誰でも持っていると思うが、もっと四六時中他人の目をうかがい、自意識が肥大した状態。不安で傷つきやすいのにそれでも刺激・変化を求めてしまうような。まるで多重債務者のようにその場その場をやり過ごすことしかできなくなる、肥大する刹那。
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