マガジンひとり(ご訪問ありがとうございます。年内に閉鎖を予定しています)

書肆マガジンひとりとしての小規模な同人活動を継続します。

キラキラ婚

2019-12-12 16:04:31 | 中産階級ハーレム
親戚の結婚式に招かれまして。22年ぶり。わが国の生涯未婚率上昇に貢献する身分としてもうそれらに呼ばれることはあるまいと思っていた。親戚なのは新婦であるが、新郎新婦とも「陽キャの極み」といった風情。

新郎はテレビ局傘下の番組制作会社。いまは早朝の情報番組でスポーツニュースのディレクターを務め、職場に泊まり込むことも。軟式テニスでインターハイなどに出場したが、大学ではサークル活動にとどめ、この制作会社でずっとアルバイト。就活ではアルバイト経験を活かし最終面接まで残ったものの不採用、ほかの会社にも受かっていたがどうしてもテレビの現場で働きたいと就職浪人を決め、1年後に採用された。同僚女性のスピーチによれば「当社のイケメンは性格が悪いことが多いが彼は誰にも分け隔てなく優しい」。まじめな人柄のようである。

新婦は銀行勤め、新卒で入ったメガバンクを3年ほどでやや格落ちの銀行に転職。披露宴で紹介されるエピソードは、大学のミスコンに出たとか学生時代のことがほとんどで、仕事の話は出ない。新郎の上司から「時間の不規則な仕事なので、奥さんは支えてあげて」的な話も出て、私は結婚式・披露宴というのは女のためにあるものと思っていたが、この場合はまったくそうでない、嫁を迎える「家」と、男尊女卑の家制度と密着したわが国の資本主義のためにあるということが実感できた。

輝くばかりの美貌ながら、一夫多妻の星で女になるのは嫌、男になりたいという『11人いる!』のフロルの気持ちがヒシヒシ伝わった—



OECDによれば、米国の医療総支出がGDPに占める割合は2015年で約17%と加盟国の中で断然多く、2030年にはさらに20%まで高まると予測されている。医療・製薬業界が不当な利益をむさぼっていることは明らかだ。なにしろ世界一医療費が高いにもかかわらずアメリカ人の平均寿命は縮んでいるのだから。

AIの進歩によって、医師や弁護士の仕事は必要なくなるといわれ始めてひさしいが、その兆しもみえない。看護士・介護士はこの先もずっと必要だ。彼らの給料より安いロボットが実用化できるとはとても思えないことは誰でも分る。一方、すべての判例を読み込ませ、囲碁ソフトのように法廷で争えるAIなんてすぐにでもできそうだが、なぜできないのか。「給料と社会的地位が高い仕事」はなくせないのだ。

地方の中小企業が家族親族以外から経営者を招こうとすると、取引銀行が反対するという話を聞く。もちろん経営が傾き、債権を回収するとき、その会社の財産以外の不動産などから取り立てしやすいからだ。世の中全体より自分たちの保身しか考えないのが役人の習性。日本の人口は減る。働く人と働けない高齢者・子どもの割合が1:1に近づく。銀行・税理士・人材派遣・コンビニ本部のような中間搾取的な仕事は人間でなくAIにやらせて合理化し、世の中に必要な仕事にもっとお金を回すようにしないと日本は破滅する。

でも変らない。先の新郎のテレビ番組、新婦の銀行はもう世の中に必要ないけれども、新たに私の遠い親戚になる人たち、招かれた学校や会社の人たちは着飾ってキラキラしてる。直接つながって盤石だ。変るわけがない。若い2人の門出に失礼千万なことは百も承知ですが、わが国は破滅する—
コメント