マガジンひとり

自分なりの記録

40 Best Kinks Songs

2019-02-05 21:38:05 | 音楽
キンクスの中心人物、レイ・デイビスはことしで75歳になるそうだ。バンドのデビューから数えても55年。気の遠くなる歳月である。私が洋楽を聞き始めた1978~80年ころ、キンクスはライブバンドとして米国で人気が高く、初期ですら66年のベスト盤でしか獲得できなかったアルバムのゴールドディスクをLOW BUDGETから3連続で獲得するほどであったが、本国の英国ではさっぱりだった。2度レコード会社を移籍したこともあり、わが国では過去のアルバムがほとんど廃盤のままであった。

ザ・フーも同様にわが国では地味な存在にとどまっていたものの、フーにはTOMMYWHO'S NEXTといった認知度の高いアルバムがあったのに対し、普通の洋楽リスナーはキンクスのアルバム名など一つも知らなかったのではないか。いまでこそSOMETHING ELSEARTHURが名盤として評価を定着させたが—



【左】68年の英TV出演【中】左からレイ・デイビス、クリッシー・ハインド(プリテンダーズ)、アリス・クーパー、80年ころとみられる【右】2015年のコンサートで歌うレイ・デイビス

「すみませんが」わたしは緊張して言った。「次はわたしたちの番です。あなた方はわたしたちの後です」
レノンは堂々とした長い鼻越しにいかめしい表情で見つめていたが、やがて口元に蔑んだ笑みを浮かべた。
「ビートルズと一緒だと順番は回ってこないんだよ、小僧。おまえらは俺たちが出ていくまでただつないでるだけさ」
彼はステージを離れながら、捨てぜりふも投げつけていった。
「行き詰って演奏する歌が底をついたら、何曲か貸してやってもいいぜ」
  —(レイ・デイヴィス『エックス・レイ』TOKYO FM出版1996・原著1994)

1964年、マネージャーが奔走してビートルズのライブで前座を務める仕事を取ってきた。その舞台袖でのエピソードである。前座は何組かいて、キンクスはビートルズの直前という最もやりづらい順番であったが、絶叫に負けまいと予定を変更して3rdシングルYou Really Got Meを演奏し、少し観客の心をつかんだ。ので後の日程では順番をもっと前に回され、ビートルズの直前にはハイ・ナンバーズ(後のザ・フー)が回ったそうだ。

私は有名人同士が付き合ってるとか喧嘩したとか、まったく興味がない、よい音楽だけ聞いていれば幸せだが、レイ・デイビスとジョン・レノンの交錯となれば別である。60年代のブリティッシュ・インベイジョンの担い手たちは、おおむね労働者階級の不良少年で、音楽は成り上がって贅沢な暮らしをするための手段でもあった。キンクスはレイと3年下の弟デイブ・デイビスを中心として結成されたが、兄弟の上には姉が6人もいたという。明るいデイブと異なりレイは陰性で内向的な少年だったそうで、姉が病気で亡くなる前にプレゼントしてくれたギターで音楽活動を開始。

バンド・デビューすると、一度聞いたら忘れられないリフを持ち、後のパンクの原型とも見なされるYou Really Got Meが英1位となり開花。アルバムに収録しないシングル、またシングルのB面にも佳曲が多く、デイブも曲を書く。65年の英ライブでデイブとドラム担当のミック・エイボリーが乱闘し警察沙汰となって、しばらく米国入国が禁止となったことで、かえってSOMETHING ELSEVILLAGE GREENのような英国のライフスタイルを描く名盤の誕生につながったとみる向きも。

商業的な浮沈はあったが、最も英国らしさを感じさせるロックバンドとして敬意を集めるようになったキンクスとレイ・デイビス。2016年にレイはナイト爵位を授与された。英ロックの多様性と世界的成功は、戦後の総中流化の動きを映し出しており、先進各国で社会の分断と格差の固定化が進むいま、レイやジョン・レノン、デビッド・ボウイやフレディー・マーキュリーのような絵に描いたようなサクセス・ストーリーは生まれにくくなっているのかも分らない—



You Really Got Me (1964 - The Kinks)
All Day and All of the Night (1964 - The Kinks, Bonus track)
ザ・キンクスはこの年、ロンドン北部のマスウェル・ヒルで結成された。1stシングルこそカバー曲であったがオリジナル志向が強く、このアルバムではオリジナル曲は14曲中6曲にとどまったものの2nd以降大半がオリジナルとなる。


Tired of Waiting for You (1965 - Kinda Kinks)
Set Me Free (1965 - Kinda Kinks, Bonus track)
See My Friends (1965 - Kinda Kinks, Bonus track)
A Well Respected Man (1965 - Kinda Kinks, Bonus track)


Till the End of the Day (1965 - The Kink Kontroversy)
Where Have All the Good Times Gone (1965 - The Kink Kontroversy)
Dedicated Follower of Fashion (1966 - The Kink Kontroversy, Bonus track)


Sunny Afternoon (1966 - Face to Face)
I'm Not Like Everybody Else (1966 - Face to Face, Bonus track)
Dead End Street (1966 - The Kink Kronikles)


Waterloo Sunset (1967 - Something Else by the Kinks)
Death of a Clown (1967 - Something Else by the Kinks)
David Watts (1967 - Something Else by the Kinks)
Two Sisters (1967 - Something Else by the Kinks)
スクールカーストの歌? David Wattsに始まり大名曲Waterloo Sunsetに終る、アルバム単位でどれかといわれたら、やはりこれが最高傑作になるでしょう。


Autumn Almanac (1967 - The Kink Kronikles)
Susanna's Still Alive (1967 - The Kink Kronikles)
Days (1968 - The Kink Kronikles)
She's Got Everything (1968 - The Kink Kronikles)
71年にパイからRCAに移籍するが、米国でキンクスの発売権を持っていたリプリーズが、アルバム未収録のシングルとFACE TO FACEからPERCYまでのアルバムからの曲で構成した編集盤。彼らの曲作りの最良部分として、編集盤ながらローリングストーン誌のアルバム500選で232位。


The Village Green Preservation Society (1968 - The Kinks Are the Village Green Preservation Society)
Do You Remember Walter? (1968 - The Kinks Are the Village Green Preservation Society)
Picture Book (1968 - The Kinks Are the Village Green Preservation Society)


Shangri-La (1969 - Arthur or the Decline and Fall of the British Empire)
Victoria (1969 - Arthur or the Decline and Fall of the British Empire)
Some Mother's Son (1969 - Arthur or the Decline and Fall of the British Empire)
Pitchforkの60年代アルバム200選で186位。カナダの制作中断したTVドラマのために作られたコンセプト・アルバム。83年に日本のSMSレコードがパイ時代のアルバムを一挙再発し、集めていたが、これを最も聞いた。メドレー的な構成のShangri-Laは古い曲ながら私のチャートで2位。83年、同様に再発を買って2位になったのがキング・クリムゾンのFallen Angel。


Lola (1970 - Lola Versus Powerman and the Moneygoround, Part One)
Strangers (1970 - Lola Versus Powerman and the Moneygoround, Part One)
This Time Tomorrow (1970 - Lola Versus Powerman and the Moneygoround, Part One)


The Way Love Used to Be (1971 - Percy)


20th Century Man (1971 - Muswell Hillbillies)


Celluloid Heroes (1972 - Everybody's in Show-Biz)



I'm in Disgrace (1975 - Schoolboys in Disgrace)



Juke Box Music (1977 - Sleepwalker)


A Rock and Roll Fantasy (1978 - Misfits)
77年のSLEEPWALKERからアリスタに移籍。タイトル曲やデイブのTrust Your Heartなど佳曲がいくつか。米国での人気もこの後60年代を凌ぐほどとなる。


Better Things (1981 - Give the People What They Want)


Come Dancing (1983 - State of Confusion)


How Are You (1986 - Think Visual)


Ray Davies / Other People's Lives (2006 - Other People's Lives)


Ray Davies / Imaginary Man (2007 - Working Man's Café)


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