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ピッピという女の子

2011-05-21 23:15:56 | Bibliomania
『世界中で愛されるリンドグレーンの絵本』 @芦花公園・世田谷文学館(開催中~6月26日、月曜休館)
世界中の子どもたちに愛されている『長くつしたのピッピ』。作者のアストリッド・リンドグレーン(1907~2002)は、子どもの憧れる生活を、ピッピという日常の価値観を超越した女の子の物語によってかなえてみせました。
リンドグレーンは生涯にわたり、ピッピのように《子どもならではの時代》を謳歌する子どもたちの姿を書き続けました。それは、大人の理想とする子どもの姿を払拭するもので、子どもは大人とは全く異なる世界の中に生きていることを明確にするものでした。
本展では、「やかまし村シリーズ」など、スウェーデンの豊かな自然を背景にした作品群を展示するとともに、世界中に広がった「ピッピシリーズ」の《生き生きとしたイメージ》を、2部構成で紹介します。



2週続けて録画しそこねた、神木きゅんが料理するさまを、きょうはしっかり録画できたので、安心してブログ更新。
どうなのかね、2ちゃんねるでは、神木きゅんかっこよくなって、かわいい子役から脱皮できた貴重な例のような評判も聞くが。ホモホモ目線というより、自分の子どもの成長を見守るのにも似た。
これまでのオラの、若い女たちとの乏しい交遊録においても、ことに4大卒の女子は母親から料理など家事を教わっていない場合がしばしばで、いざマトモな就職先に恵まれなかったときにツブシが利かなくて身を持ち崩す一因にもなっている傾向。ゆえに、若くかっこいい男子が、率先して厨房に立つ様子をドラマ化することによる教育効果も見逃せない。
さらに、近年のオラのように四十の手習いで自炊するにしても、子どものころ「親の手料理」で培った味覚を頼りにせざるをえないわけで、つくづく親の子どもに対する影響力・支配力を実感。
子どもって、自由なようで、意外と不自由。さまざまな制約に、縛られている。
だからこそ、なにものにも縛られない、天衣無縫なピッピちゃんの人気は、いつまでも衰えないに違いない。
日本では1964年に初めてお目見えしたそうなので、いま55~56以上の世代には馴染みが薄いにしても、それ以下の世代にとって、おそらく日曜晩の名作劇場でアニメ化されなかった児童文学作品としては最大の認知度なのでは。
オラ子どものころ愛読した版は、とうの昔に手放してしまっていたが、本展の展示ではわが国のほぼすべての版が網羅されており、めぐり会うことができた。岩波書店版と同じ1964年に講談社から少年少女新世界文学全集の27巻「北欧現代編」として出版されたもののようだ。シリーズの3部作すべてを『長靴下のピッピちゃん』の題で、『ムーミン谷の冬』『青二号、とびだせ』と併録。
そうそう、ムーミンも青二号もぜんぜん読まないで、ピッピちゃんばっかり読んでたんだよ。挿絵は松田穣という人が担当したとのこと。3部作のいよいよ最後の場面、窓辺でひとりロウソクを見ながら考え込むピッピが、↑画像の桜井誠氏によるものより、もっと夢みるような表情だったのが、いまも忘れられない。



イロン・ヴィークランド(Ilon Wikland)─『やかまし村の子どもたち』表紙(1954~61)



クリスティーナ・ディーグマン(Kristina Digman)─『ペーテルとペトラ』表紙(2007)=リンドグレーンの『親指こぞうニルス・カールソン』に基づく絵本



イングリッド・ヴァン・ニイマン(Ingrid Vang Nyman)─『長くつしたのピッピ』より、サルのニルソンを抱くピッピ(1945・出版社用ポスター原画)=芸術家肌の挿絵画家で、後に苦境におちいって自殺したが、ピッピシリーズの最初の版を手がけたので、スウェーデンでは彼女による挿絵がピッピのイメージとして定着している



同じく、『長くつしたのピッピ』の挿絵(1945)



アドルフ・ボルン(Adolf Born)─『長くつしたのピッピ』より、ピッピ、コーヒーの会に呼ばれる(1993)=現代チェコを代表する絵本作家・挿絵画家で、アニメーションでも名高い



ローレン・チャイルド(Lauren Child)─『長くつしたのピッピ』より、ピッピ、ごたごた荘にひっこす(2007)=斬新な作風で人気の、イギリスの絵本作家



桜井誠─『長くつしたのピッピ』より、ピッピ、門にこしかけ、木にのぼる(1964)=『小公女』『赤毛のアン』『アルプスの少女』など児童書の挿絵を多数手がけた日本の挿絵画家。ピッピも最初の岩波書店版を担当、多くの日本人にとって、作品と切り離せないイメージになっている
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