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SF以上の現実─チリ鉱山の落盤事故

2010-09-05 22:12:07 | Weblog
落盤の地下700㍍と通話─「健康だが腹が減っている」
【ロザンゼルス=共同】南米チリからの報道によると、チリ北部コピアポ近郊の鉱山で落盤により労働者33人が閉じ込められた事故で8月23日、地下約700㍍の地中で生存が確認された鉱山労働者と地上との間に通話回線が設置され、労働者らは「みんな健康だが、腹が減っている」などと話した。
救助関係者が地上から一人一人と会話。一人が胃の痛みを訴えたが、ほかには健康上の問題がないことを確認した。労働者は、歯ブラシがほしいなどと訴えたという。
また、労働者は、事故当日に先に出口に向かっていた同僚たちの安否を尋ね、無事だったとの回答を得ると、拍手したり、歓声を上げたりした。会話の最後には国歌を斉唱した。
一方、ピニェラ大統領は同日「責任者は処罰する」と述べ、刑事処分も含めた責任追及に乗り出す考えを表明した。
地上からは、水や栄養補給用のゼリー、薬などの輸送が始まった。徐々に固形の食べ物に切り替えていく方針。
保健省は、労働者の置かれた状況が国際宇宙ステーションで暮らす宇宙飛行士と似ているとして、健康管理などについて米航空宇宙局(NASA)に協力を求めるという。

【時事】33人は生存が絶望視されていたが、8月22日に全員の無事を確認。ただ、救出に必要な穴を掘るには4ヵ月程度かかるとみられ、当局は今後、救助を待つ間も生き延びさせるための対策を急ぐことになる。 ─(東京新聞8月24日夕刊)



↑8月26日、チリの鉱山落盤事故でビデオを通じ元気な様子を見せる閉じ込められた労働者=AFP・時事

地下の5人「うつ」症状─通信回線でカウンセリングへ
【ニューヨーク=加藤美喜】南米チリ北部の鉱山で起きた落盤事故で、マニャリク保健相は8月27日、地下約700㍍の避難所に閉じ込められている作業員33人のうち、5人が「うつ」の症状を訴えていると述べた。精神科医らが通信回線を使ってカウンセリングを始めるという。チリ紙テルセラなどが伝えた。
作業員らは26日、ビデオカメラで地下の生活の様子を撮影。ひげが伸び、ほおがこけてやつれた姿ながら、家族や国民の支援に口々に感謝の言葉を述べる様子がチリ国内で放映された。画像にはドミノで遊んだり、国歌を歌う作業員たちの元気な様子も写っていたが、保健相は「5人が非常に孤立し、ビデオに写ることを嫌がった。彼らはきちんと食事も取っていない」と述べた。
33人が閉じ込められている避難所の広さは約50平方㍍。避難所に通じる約2㌔の坑道も効果的に使いながら生活している。しかし、気温35度前後、湿度85%という閉鎖空間で、救出を待つ彼らにのしかかる心理的負担は絶大。救助当局は、適切な食事に加えて昼夜の区別を付けること、適度な運動、トイレなど衛生面の管理、娯楽、家族との通信などが健康維持に欠かせないと指摘。来週には米航空宇宙局(NASA)の専門家が現地に到着し、心身面でのアドバイスを行う見通し。 ─(東京新聞8月28日)

安全対策 不備に批判─チリ落盤、脱出はしごなし
【ニューヨーク=加藤美喜】落盤事故で33人が閉じ込められている南米チリ北部のサンホセ鉱山で、緊急時の脱出用はしごが設置されていないなど、鉱山を所有するサンエステバン社が意図的に作業員の安全対策を怠ってきた可能性が出てきた。同社をはじめ監督官庁に対する非難の声も高まっている。
米メディアによると、サンエステバン社は2007年、作業員が死亡した事故での刑事告訴で操業停止に追い込まれたが、十分な安全対策が取られないまま翌08年に操業を再開している。同社で危機管理を担当していた元幹部社員は、法で定められた脱出用はしごが鉱山には設置されておらず「経営陣に再三設置を訴えたが『予算がない』と無視された」と証言している。
作業員の家族らはすでに、サンエステバン社と監督官庁の職員を刑事告訴。ピニェラ大統領も事故後、監督官庁のトップら数人を更迭し、国内の全鉱山の安全対策を徹底調査するよう命じた。 ─(東京新聞8月29日)



↑8月31日、チリ北部のサンホセ鉱山で、掘削機で救出用の穴を掘る作業員ら=AFP・時事(チリ政府提供)

鉱山経営者が謝罪─NASA支援チーム、きょう現地に
【ニューヨーク=加藤美喜】南米チリ北部のサンホセ鉱山で起きた落盤事故で、鉱山を所有するサンエステバン鉱業社のボン最高経営責任者(CEO)が8月31日、チリ議会の鉱業委員会で「作業員たちに耐え難い苦痛を与えてしまい、許しを請いたい」と謝罪した。チリ紙テルセラなどが伝えた。
ボンCEOはまた、作業員や債権者に対して「できる限りのことをする」と表明。共同経営者のケメニー氏も事故当日から連日現場に詰め掛けていることを訴え、「われわれも家族のように心を痛めている」と述べた。
同社に対しては、安全を怠ったとして作業員の家族らがすでに刑事告訴済み。しかし、閉山の影響で倒産の危機にあるとされ、閉じ込められた33人のほかに、同社の鉱山で働く約270人の作業員たちに対しても給料が支払われない可能性が高まっており、作業員たちは政府に救済を求めている。
また、地元メディアによると、米航空宇宙局(NASA)の専門家チームが31日、首都サンティアゴに到着した。代表者は会見で「真実を伝えることは重要だが、一方で誤った期待を抱かせてはならない」と強調。作業員たちを失望させないために、救助時期について安易な見通しを伝えることを戒めた。
チリ政府は、地下700㍍の閉鎖空間に長時間閉じ込められている作業員の心身のケアには宇宙飛行士の経験と知見が参考になるとして、NASAに支援を要請していた。チームは9月1日に現地へ移動する。 ─(東京新聞9月1日夕刊)



↑9月1日、南米チリ北部の鉱山落盤事故で、初めて地上から送られる温かい食事を示す政府関係者=AP

温かい食事 初めて届く
【ニューヨーク=加藤美喜】南米チリ北部の鉱山落盤事故で、地下約700㍍の地点に閉じ込められている作業員33人に9月1日、事故後初めて温かい食事が届けられた。
地元メディアによると、物資送付用の直径約10㌢の穴を通じて、ミートボールのトマトソース煮とご飯、キウイなどが配給された。一方、チリ政府の要請を受けた米航空宇宙局(NASA)の専門家チームが1日、鉱山に到着。チームは医師や栄養士ら4人で、作業員の健康管理を助言。食事のメニュー考案にも携わる。作業員たちには1日約2000㌔㌍の食事が提供されるが、たばこと酒は禁止。喫煙者にはニコチンパッチが送られている。
救助当局はまた、NASAの協力を得て、地下に発光ダイオード(LED)の照明を導入した。昼夜の疑似体験ができるようになり、規則正しい生活に役立つという。
地下の新たな映像も1日、公開された。作業員たちは地上から送られた清潔な赤いTシャツを着用し、中にはひげをそり落としてさっぱりした様子の人も。笑顔で口々に家族や政府に感謝の言葉を述べ、力強く生還を誓っていた。 ─(東京新聞9月2日夕刊)
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