無意識日記
宇多田光 word:i_
 



新しくキングダムハーツのサントラがストリーミングに乗ったようで、大変めでたい。『光』と『Passion』のオーケストラ・バージョンや『光』のインストが聴けるぞ。

しかしやはり本陣の『Passion - opening version -』は今回も見当たらず。未だ昔のサントラCDを購入するしかないみたいだね。本来、『Passion』のオリジナルはこちらの筈なのだ。こちらのゲームオープニング用のバージョンが出来て、そこからゲーム用のパートを間引いてシングル曲用のパートをつけたしたのがシングル盤に収録されている『Passion』なんですよ、話を総合すると。

だが、最初(2005/12/14)に発売されたシングル盤では『Passion - single version -』と表記されていたトラックは、『ULTRA BLUE』や『Single Collection Vol.2』といったアルバムに収録される際はシンプルに『Passion』となっているのよ。『Sanctuary』が必ず律儀に『Sanctiary - opening version -』と『Sanctuary - ending version -』と書き分けられてるのとは対照的だね。この事実を鑑みると、宇多田ヒカルサイドとしてはこの『Passion - single version -』を“オリジナル扱い”しているようにも思える。つまり、『Passion - opening version -』はなかったことになってるんだね。

ここらへん、歴史と経緯がややこしいんだろう。英語版の『Sanctuary』の正式発表が紆余曲折だったのもあったし、最初から日本語英語並行して対になって発表されてたらこんなことにはなってなかったのかもしれない。わかんないけど。

それに、ライブDVDで触れられるライブ・バージョンではその『Passion - opening version -』特有のパートがきっちり差し挟まれているので、そこらへんまでチェックしている熱心なファンからすれば、改めて『Passion - opening version -』を手に入れたいとも思いづらいのかな。これも、わかんないけど。

でも、ストリーミングに乗っけたら単純に再生回数稼いでくれる気がするんだけど、どうなんたろうね? ゲームのバージョンで聴きたいってニーズもあると思うんだけど。今更アルバム収録されてる『Passion』を『Passion - single version -』に戻すわけにもいかないのかな。2018年のリマスターでは『ULTRA BLUE』のボーナストラックが『Sanctuary - opening version -』になっているので、次のリマスターの時にはここらへんに収録してくれるのが望ましい、ような。あんなにヒカルの海外人気を押し上げたトラックだというのに、相変わらず変な扱いのままなのでした『Passion - opening version -』てヤツは。20年近く経っても、不遇なままなのです。

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )




バート・バカラックが亡くなったそうな。享年94で自然死という報道。大往生だったのだろうかな。謹んで哀悼の意を捧げたい。

バカラックといえばCubic Uのデビュー曲『Close To You』の共作者だ。カーペンターズをはじめとして数多くカバーされてきたスタンダード・ナンバー。今年はCubic Uもデビュー25周年で、そういえばヒカルがデビューした後このCubic Uのバージョンが話題になった時点でバカラックさんは既におじぃちゃんだったなぁと。そりゃ当時もう70歳前後だもんね。

彼作曲の有名曲といえば“Raindrops Keep Fallin' on My Head”(「雨にぬれても」)などをはじめとて幾つもある訳だが、その中でも(かどうかは知らないが)カーペンターズのバージョンで有名になったこの『Close To You』をデビュー曲に選んだのは、偏にCubic Uの圧倒的な歌唱力を示すためだったのだろうと思われる。スタンダードであればあるほど違いがわかりやすいからね。極論すれば「あたしカレン・カーペンターより上手いからね?」と言いたかったのだろう。自分ものこのテイクを聴いて「とんでもねぇ歌唱力だな」と舌を巻いた覚えがある。

もしCubic UがNY等で活動を続けアメリカのメジャーレコード会社に拾われていたら、というifはよく語られるところだが…って書こうとしたけど無意識日記では一度も書いたことがなかったな! 「Cubic Uネタはいつかネタ切れしたときのためにとっとこう」と思ってこの日記を始めたので敢えて言及するのは避けてきているんだけど、結局人間活動期でも手をつけることはなかったんだよねぇ。あの5年半何書いてたの自分? (見返してみる)…なんかいっぱい書いてあったわ…(汗)。

…っとと、話が逸れたな。もし英語のまま活動を続けてたら、それでブレイクしたあとにローカル言語である日本語で作詞をする動機はなかったろうから、日本語圏民としては「これでよかったんだな」と思える所だが、当時から洋楽寄りのファンが「とっとと世界史上に売って出て欲しい」と言っていた訳で、そういう意味ではチャンスを逃したともいえる。裏腹やね。

先月来日したリナ・サワヤマが「昨日誕生日だった人の歌を」ということで『First Love』をカバーして称賛されていたが(1/20のライブってことね)、もしかしたらその「Cubic Uがそのままメジャーに拾われていたら」のifを最も近く体現しているのは彼女なのかもしれないな。セカンドアルバムは全英3位を記録していたし、日本生まれということもあって作品の中にジャパニーズ・テイストも鏤められていたし、「実現しなかった未来」を妄想しみるのも楽しい。

四半世紀経ってこういう後輩が生まれていく一方で、デビューを彩ってくれた偉大な先達の作曲家が亡くなっていく。なんとなく今年の節目感が増した朝でありましたとさ。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )