ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

岸和田てくてくさんぽ3

2021年01月31日 | てくてくさんぽ・取材紀行
マンサード長屋を抜けると岸和田城の内堀端に出て、堀に写る逆さ天守を見ながら、五風荘の生垣沿いを行く。やや先に入口がある五風荘は、岸和田城主岡部氏の新御茶屋跡。明治期に織物・紡績を主業とする財閥の寺田利吉氏が邸宅とし、主屋と3つの茶室を備えた回遊式庭園である。内堀端の散策路に降りると、石垣から店主にかけてきれいに堀に逆さに姿を映す。対岸には本丸の犬走りや、本丸から犬走りへと降る石段も。犬走りは脆い泉州砂岩の石垣が、崩落するのを防ぐために設けてあるといわれる。歩くにつれ、北側の小天守も姿を表してくる。

いったん遊歩道から上り、岸和田城に隣接する岸城神社へ足を運ぶ。岸和田城三ノ丸に鎮座する地域の総鎮守で、ここも岸和田祭り(だんじり祭り)発祥の地との説がある。もとはこの地にあった稲荷社に五穀豊穣を祈願した祭りで、9月の例祭の際には、市街を曳き廻されただんじりが15台、宮入して勢ぞろいする様が壮観だ。縁結びにご利益があり、境内社の商売の神様・岸和田戎神社は、十日戎の日に特に賑わうという。

城の堀の外回りはだんじり祭りの際、ラストを飾る宮入のルートになっている。紀州街道から城郭へ向かい、難所の「こなから坂」を駆け上がり、堀に沿って西〜南〜東と城を4分の3周して、岸城神社の境内へと入っていく。神社参道の石畳を最後のひと登り。祭りの映像では、コーナーを高速で旋回する「やり回し」に次ぐ名シーンで、最後の力を振り絞り曳き廻した後、境内を闊歩する曳行衆の晴れ晴れしい表情が印象的だ。

岸和田てくてくさんぽ2

2021年01月31日 | てくてくさんぽ・取材紀行
三の丸神社は岸和田藩主の岡部長泰が、伏見稲荷から稲荷神を勧請した社。ここの稲荷祭りの祭礼がだんじり祭りのルーツともされ、かつては車入りも行われていた。その向かいの路地に沿ってのびる町家群は、なんと一つの長屋。大正11年頃に建てられた十六軒長屋で、全長120m。長く軒下をそろえる本二階建ての和風建築で、今もほぼ人が住む現役の家屋だ。木の格子、木製の雨戸と戸袋が見られ、長屋の連結部分は隣家とつながって見えるが、家屋は壁で隔てられ独立している。4軒ごとの軒に配した「木鼻」が、装飾を凝らした造作。かつては二軒ごとに共用されていた井戸もあり、一部に残っているという。

さらに先に並んでいるのは、洋風の長屋。出窓に三角屋根、屋根の下部が垂直に折れた腰折れ式屋根が特徴の、当時先端だった洋風集合住宅である。フランスの建築家の名から「マンサード長屋」と呼ばれている。大正時代末期に建てられたといわれ、寺田財閥による五風荘などに隣接していることから、当時紡績にて賑わった岸和田の関係者が入居したといわれる。十六間長屋と同じ提供先との説もあり、和洋を選択して入居していたとも。

岸和田てくてくさんぽ1

2021年01月31日 | てくてくさんぽ・取材紀行
起点は南海岸和田駅から、ひとつ和歌山市寄りの蛸地蔵駅。蛸地蔵とは最寄りの天性寺の通称で、岸和田城の一揆を地蔵尊の化身である大法師と数千ものタコが救った逸話がある。大正14年築のモダンな駅舎にはレトロなシャンデリアと、この「蛸地蔵物語」が描かれたステンドグラスがはめ込まれている。駅から続く蛸地蔵商店街は、かつて天性寺の参道として賑わった通り。公式キャラの「たこじろう」を使ったPRを展開、街灯のデザインのほか、屋号の看板にも店の特徴をアレンジして描かれている。

店舗は昭和の商店、それ以前の白壁の町家も見られ、ホーロー看板に記された屋号に年季が感じられる。料亭のまるに別館は、完全予約制の懐石料理の店。藤本食料品店の先には全体が蔦でからんだような、緑一色の長屋が目を引く。植物は藤で、花期にはファザード一面が薄紫に彩られるという。先にはアーチ窓の化粧品店、看板建築風の鳥肉専門店「鳥市」、その奥にはうだつに虫籠窓の土蔵造りの商家も。さまざまな古い時代の商店建築が、一堂に会した商店街である。

ビジネスイン南海@和歌山市

2021年01月31日 | 宿&銭湯・立ち寄り湯
昨夜の宿は、市駅から数分のこちら。雑居ビル的な外観の典型的なビジネス宿だが、中はリノベされて新しく清潔感があった。部屋はセミダブルで広め、水回りは古びていたがまあまあ及第の快適さだった。家族経営っぽい親しみやすさで、南海電鉄とは多分無関係。

朝食は仕出しではなくキッチンで作っているのがポイント高く、特にサケはちゃんと焼いており量産型蒸し鮭でないのは素晴らしい。外はカリカリ、中はしっとり、皮のこんがり感はチェーンのビジネスホテルの無料朝食ではお目にかかれない、手作りの心配りの結集。これだけでご飯のおかわりがいけてしまうほどだ。

コーヒーサーバも都度豆を挽くタイプで、滞在中はフリーで飲める。GOTOなしで3400円もありがたく、今後の和歌山の定宿に決まりの一軒だ。

カフェマーレライ@和歌浦

2021年01月30日 | 旅で出会った食メモ
あしべ橋の手前、アートキューブ2階にあるカフェで、野菜ソムリエがプロデュースする地産食材を使った健康的なランチがいただける。モーニングのプレートも、野菜をベースにした料理の数々。

根菜のスープはカブ,にんじん、ブロッコリー、エノキなどが細かくされて入り、コンソメの薄味なので野菜の味がいい。県産の玄米、彩りサラダに、サンドイッチの具は大豆ミートの健康カツ。さくさく感があり食べ応えありつつも、お腹に軽く負担がないのがいい。

角の二面が大きく窓がとられ、不老橋の石橋や妹背山の島、和歌川河口の干潟を一望。オーガニックコーヒーを食後にいただきながら、和歌浦の景勝を眺め一息におすすめだ。