ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

半蔵@JR奈良駅

2021年01月29日 | 旅で出会った食メモ
チェーンながら奈良に軸足を置いているそうで、大阪風串カツと京風おでんが二本柱になっている。おでんは昆布だしの澄んだあっさり系で、削り節をたっぷりのせるスタイル。ちくわ、厚揚げあたりがさっぱりといただけ、ダイコンは汁がたっぷり染みた煮加減が嬉しい。

串カツは野菜盛りが選べ、レンコン、シイタケ、ネギに加えてアスパラとプチトマトが個性派。衣のラード香に、それを持ち上げる串カツソースが、まさに大阪の味。追加の海鮮アヒージョは、オリーブオイルで熱々に揚げたタコイカエビサケに、ニンニクスライスのパンチが効いている。

要素的に奈良が抜けていたので、酒は好みの「春鹿」超辛でじっくり。沁みる寒さの奈良盆地にて、お店貸切の一人酒である。

カフェ&ギャラリー塔のきざみうどん@西の京

2021年01月29日 | 旅で出会った食メモ
薬師寺と唐招提寺の最寄駅にしては、駅も小さく駅前もひっそりしているこちら。駅の前のこの店の名は、薬師寺の東西の塔からだろう。名前に惹かれて頼んだら、揚げを細かく切ってのせた「変形きつねうどん」が登場。ふわり厚めの揚げは柔らかく食べ応えがあり、東のそれより味が甘くなくあっさりしている。伏見稲荷の稲荷寿司から、揚げ続きだ。

駅前通りは大きな寺院や土塀、田園と続き、歩くのによさげ。アットホームなこの店も同様、観光地にありがちなハレ過ぎる華がないのが、かえっていい。

稲福のうずら焼き@伏見稲荷

2021年01月29日 | 旅で出会った食メモ
伏見稲荷の裏参道を歩いていて目立つ、スズメやウズラの焼き鳥の文字。界隈でスズメを食べるようになったのは諸説あり、五穀豊穣の稲を食べる鳥の退治とか、肉食が少なかった当時のタンパク源とか、山で暮らす民の供物だった鳥を下げた後に食べたとか、言われは様々。今では地元で常食はされていないものの、参拝客の食として裏参道を賑わせているようだ。

伏見稲荷寄りに構える「稲福」は、店頭でそれぞれを姿焼きにしているのが目を引く。スズメは頭もついた丸焼きで、国産で猟師がとったものを使っているという。冬場の猟期に獲る天然物で、頭の部分のコクと身のパリパリした食感が、野鳥独特の美味さなのだとか。隣のやや大型のはウズラで、丸ごと開きや頭のない半身で焼かれている。大ぶりのウズラは半身で、小ぶりのは骨ごと食べられるそうで、大きい方は骨が硬い分、身の味が濃厚だとか。

テイクアウトのほか、店でいただけるので、ウズラを半身でいただくことに。半身ながら結構大振りで、濃厚なタレでテラテラに光っている。醤油やみりん、酒、砂糖などをあわせて作っており、壺のタレにくぐらせながら焼き、山椒をまぶして仕上げ。かじりつくと身の味がしっかりしており、肉は締まりかみしめるごとに味が染み出す。野趣あふれる力強い旨味で、甘めのタレの味にも負けていない。一緒に頼んだ稲荷寿司は関西スタイルの三角型で、揚げは厚めで砂糖たっぷり目の甘めな味わいだ。

裏参道を直進したら、京阪の伏見稲荷へ到着して、伏見稲荷さんぽは終了。西の京に寄ってから、奈良市街へ向かいましょう。

伏見稲荷てくてくさんぽ6

2021年01月29日 | てくてくさんぽ・取材紀行
玉山稲荷社から奥宮へ、鳥居のトンネルに行かず直進して、境内の外へ出る。木の根が見えたり石積みがあったりする沿道から、墓所を左に見て小道を行くと、石峰寺の手前に「ぬりこべ地蔵」の小さな祠が立つ。かつて土を塗り込めた壁の土蔵に安置されていたことから名がついたそうで、病を「塗り込め=封じる」ことから、特に歯痛にご利益ありとされる。小川のほとりの堂を覗くと、素朴なお顔つきの地蔵様が。全国から祈願のハガキが届く高い認知度で、時節柄コロナ平癒祈願のハガキも見られる。庶民信仰のお地蔵様らしい、朴訥とした質素簡素な佇まいがいい。

玉山稲荷社から北側の小道は「おさんばみち」と石柱に記されており、古民家の茶屋の先には産場稲荷社の小さな塚のような社がある。狐の夫婦が穴を掘り子育てした伝説があり、狐はお産が軽いため安産の神様とされるようになったという。塚の周りに空いている1〜12月の穴のうち、生まれる予定月の穴に賽銭を備え願うと、安産にご利益があるそう。お山まいりの後に寄る社で、願いが「産」まれる「場」が名の由来ともいわれ、誕生月の穴に祈願すると成就するともいわれる。

伏見稲荷てくてくさんぽ5

2021年01月29日 | てくてくさんぽ・取材紀行
熊鷹社で引き返す参拝者も多いが、さらに進むと斜面はどんどん急に。石段の傾斜が増し、右手には森の斜面がかなり急に落ちていく。登り切った三叉路の三つ辻から右へ、鄙びた休憩茶屋や呼子大神などのお塚を見て、山登り気分でさらに上へ。石段の両脇には奉納者名入りの石柱が見られ、料亭や市場、大店の商人などの名前が刻まれている。

いよいよ幅が細くなる石段の先に、展望が開けた一角。左にさらに登ったところが、お山巡りの周回路の起点となる四つ辻だ。登ってきた路、御膳谷から山頂の一の峰へ至る道、三の峰からまわっていく道、東福寺方面に降りる路が交わった、まさにお山の交差点だ。岩肌が露出した展望所があり、京都市街の南部を一望する景勝が見事。茶屋のにしむら亭は江戸末期創業、もとは安全に参拝できるための警備所で、注文ごとに作る稲荷寿司は優しい甘さが散策の後にありがたい。

山頂へはあと30分歩くのでまたとし、分岐した石段を登ったところの荒神峰を目指した。稲荷山の七神蹟地の一つで、本殿にも祀られている田中社の御神蹟霊地である。急登の石段の両脇にはお塚が並び、地図によると中央の神蹟を幾重にもお塚が囲む、山岳信仰の霊地の様相だ。権太夫大神との扁額がある祠の周りを、お塚に囲まれながらひとまわり。奥寄りの展望所は、京都市街の北寄りが一望できる、稲荷山屈指の景勝スポットだそう。

帰りは同ルートをたどり、途中で帰路の指示に従い鳥居トンネルを外れ、石灯籠の雰囲気の良い通りへ。玉山稲荷社の前に出てゴールとなる。帰りは飲食物販店が並ぶ裏参道を行くと、京阪伏見稲荷駅へと出られる。