ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

ローカル魚でとれたてごはん…若狭・熊川宿 『まる志ん』の、生鯖寿司

2016年06月25日 | ◆ローカル魚でとれたてごはん
東の鯖街道・若狭街道の京都側の終点の出町柳からは、国道367号線を北上。この道はかつての若狭街道に沿っており、八瀬から大原、難所の花折峠を経て宿場があった朽木と過ぎる。沿線の道の駅では生に焼き、サイズや作り手など様々な鯖寿司が扱われていて、道中のお楽しみながら目移りしてなかなか決められない。結局、次の熊川宿まで来てしまい、空腹が我慢ならずここでお昼ご飯に。ここは鯖街道の若狭国(福井県)側の拠点で、中条橋を越えた中ノ町付近に宿場らしい建物が集中している。

格子が美しい問屋「旧菱屋勢馬清兵衛家」まで往復すると、沿道に「鯖寿司」の品書きを掲げた店舗もちらほら。みやげ物屋兼食事処といった雰囲気で、観光客向けの名物として定着しているようだ。中条橋のたもとの「旧辺見勘兵衛家住宅」 を覗いてみたが、あいにく本日は完売とのこと。そこで中ほどで見かけた「まる志ん」にお邪魔した。黄色い漆喰壁に虫籠窓が、ベンガラと白壁の町並みの中では目立つ。建物は築170年を超える商家で、三和土の店の間から案内され、箪笥や火鉢など生活感あふれる調度が並ぶ奥の間へ。田舎の親戚の家へ招かれたような居心地の良さに、つい手足を伸ばして和んでしまう。

こちらも焼き鯖寿司は品切れで、生鯖寿司と葛うどんを合わせてみた。竹の皮に包まれて運ばれてきた鯖寿司は、皮目がピカピカに輝きいかにもうまそう。厚さ1センチ弱はある身に合わせて、酢飯のバランスもいい。ひと切れ丸ごと頬張ると、酢加減が穏やかでサバの味が際立つこと。押し加減も絶妙で、身が自然にほぐれ酢飯が穏やかにばらけていく。これぞ押し寿司の真骨頂、渾然一体となる口福だ。

かつては若狭湾岸の港で水揚げされていたサバだが、若狭のみならず国内の漁獲量は減少傾向に歯止めがかからず、京都や鯖街道沿道の鯖寿司もよそ物のサバを用いていることが多い。最近国内で流通が増えている、ノルウェー産のタイセイヨウサバも用いられ、脂ののりがよいとお客の評価も高いのだそう。そんな中、この店では国内産の生サバにこだわり、ご飯も福井産のコシヒカリを使用。青魚特有の身の旨味がしっかり楽しめ、あっさり食べやすいのがいい。脂ののりがほどほどな分、これが本来の鯖街道の鯖寿司の味に近いのかも知れない。

鯖寿司はごはんが押し締められていて量が多く、一人前3〜4つで充分のボリューム。名物の葛を用いたという葛うどんもスルリといただいて、すっかり満腹となった。この先、街道の起点である若狭へ出るか、琵琶湖岸へと下り西近江路で京に上るか。選択肢多彩な鯖街道の旅で、また新たなスタイルの鯖寿司との出会いも楽しみである。

鯖街道てくてくさんぽ5

2016年06月25日 | てくてくさんぽ・取材紀行
東の鯖街道・若狭街道ドライブ、熊川宿は朽木宿と並ぶ鯖街道の若狭国(福井県)側の拠点である。道の駅若狭熊川宿から旧道へ、人形がリアルに配された番所を過ぎると、舗道に沿って古い建物が並ぶ。中条橋を越えた中ノ町から先の眺めが素晴らしく、元役場で明治15年築の洋館「宿場館」、喫茶や鯖寿司も味わえる「旧辺見勘兵衛家住宅」、ベンガラ鮮やかな問屋「旧菱屋勢馬清兵衛家」など、当時のたたずまいを残している。

オレンジの舗道は広く、両側に水路が配され涼しげ。電柱も埋設されているため、江戸当時の眺めが手つかずに残るかのよう。ここで街道筋の鯖寿司を味わったので、おいおい。

鯖街道てくてくさんぽ4

2016年06月25日 | てくてくさんぽ・取材紀行
東の鯖街道・若狭街道ドライブ。朽木は国道からひと筋入ったところに、今も宿場町らしい通りが残っている。街道には焼き板やベンガラや格子の建物が見られ、通りの脇や街中には縦横に水路が敷かれている。ほとんどの建物には現在も町の人が居住しており、造り酒屋にタバコ屋に土蔵も見られるなど、かつて鯖街道の物流拠点として栄えたことを物語る。各戸に見られる「立樋」というレンガの塔は、山腹の湧水をサイフォン式に吹き上げた水源塔。街づくりには、先進の技術がほどこされていたようだ。

鍵辻の入口には「丸八百貨店」という、昭和8年築のハイカラな洋館ビルが建つ。現在は休憩所になっており、かつてはフロアに菓子店などがテナントとして出店、賑わいを見せていたという。昭和の頃の朽木の地図を見ると、通り沿いにびっしり並ぶ商店に当時の繁栄が伺える。

3階の畳敷きのホールからは、瓦屋根の宿場の様子が見渡せた。落ち着いた通りに、鯖運搬で賑わう様子を思い乗せてみたりして。

鯖街道てくてくさんぽ3

2016年06月25日 | てくてくさんぽ・取材紀行
東の鯖街道・若狭街道ドライブ、続いてやってきたのは朽木。鯖街道の宿場町が置かれ、「朽木市場」として物流の拠点として賑わった。玄関口の「道の駅くつき新本陣」も、サバの加工品がかなり多彩。デリコーナーには鯖寿司専用のスペースが設けられ、焼きと生それぞれ値段と生産者別に豊富に並んでいる。2〜3カンで数百円とその場で味わえるサイズもあり、ドライブ時の試食にはオススメだ。

朽木は京と近江と若狭の分岐点のため、それぞれの魚介加工品が並ぶのも面白い。サバは若狭のへしこのほか、近江のなれずしにもされていたり、アユも丸ごとなれずしになっていたり。こちらも小口のパックで400〜500円で買えるため、酒のアテに数種まとめ買いだ。

さすがは鯖街道の若狭街道、クルマ止まるたびにサバ所以の買い物も止まらない。

鯖街道てくてくさんぽ2

2016年06月25日 | てくてくさんぽ・取材紀行
鯖街道ゆかりの地を訪ね歩く京都の旅、足をのばして若狭街道をドライブすることになった。京都側の終点である出町柳から、大原、花折峠、朽木を経て熊川宿まで。サバが運ばれてきた道を、逆行してみるという訳だ。

かつての若狭街道は国道367号線に沿っており、八瀬を過ぎまずは大原へ。沿道は街道の特色であるサバ寿司の店がパラパラ点在、かつての行商人も、道中でサバを売りながら京都まで移動したという。大原の先の花折峠はかつて街道一の難所で、峠にある鯖寿司の「鯖街道 花折」はこの地で創業100年の老舗とか。

最初の立ち寄りは大原の「里の駅 大原」で、大原や近隣でとれた農産物を安値で販売している。漬物に使うシソがひと束250円とか、値段は確かに破格。名物のしば漬けはシソと塩のみの無添加で、ひとパック300円ほどと数種買いやすいのがありがたい。そして鯖寿司も生に焼きが、1本1000円程度と安いこと。

キュウリ、ナス、刻みのしば漬け3種に辛子漬け、鯖寿司も1本目を買ったら、鯖街道のドライブはさらに先へ。