この細長く穏やかな内湾がカキ養殖向きで、ブランドカキ「相生牡蠣」の生産拠点だ。近隣の日生が有名なせいかあまり知られていないが、古くから地蒔きで小型のカキを養殖しており、年600トンと生産量は多い。
寂しい駅前ながらもカキ料理の幟を立てた店も数軒見られ、乗り換えの合間なので駅近くのホテルのレストランへ。フェアで単品のカキ料理が600円均一なので、2品を注文した。
細長い形のカキフライをサクッといくと汁がジュッ、と来るかと思ったら来ない。身が詰んだ感じで、歯ごたえもキュッとしっかり目。磯の香りもそれほど強くなく、甘みもほのかで優しくたくさん食べられる味。
続いて蒸しガキが、ほのかな潮の香りを漂わせながら運ばれてくる。ポン酢でそのままいくとプリッ、ホコッとした味わい。フライ同様潮の香りはほどほどだが、甘みはいくらか立っている。二つ目はレモンを絞ると甘みがさらに立ち、三つ目はモミジおろしでいくときめ細かい舌触りが楽しめる。
総じて主張が控えめな、奥ゆかしいカキ。汁より身の味を楽しむようで、養殖する湾の環境の特性だろうか。のぞみが停まらず読みも怪しい? 相生の知名度アップのため、ブランドはどんどん主張して売り込んで欲しいものだ。