ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

ローカル魚でとれたてごはんbyFB…相生 『相生ステーションホテル レストラン椿』の、相生牡蠣

2012年03月11日 | ◆ローカル魚でとれたてごはん
 広島から岡山県の日生に向かう途中、乗り換えと昼食で相生に途中下車した。新幹線が停まるが下車は初めてで、駅前はホテルぐらいで閑散としている。駅が町外れ、湾岸が町の中心らしく、新幹線ホームからは南に広がる市街と、山の切れ目の先に港湾のクレーンが遠望でき、そこが湾の入口なのが分かる。

 この細長く穏やかな内湾がカキ養殖向きで、ブランドカキ「相生牡蠣」の生産拠点だ。近隣の日生が有名なせいかあまり知られていないが、古くから地蒔きで小型のカキを養殖しており、年600トンと生産量は多い。

 寂しい駅前ながらもカキ料理の幟を立てた店も数軒見られ、乗り換えの合間なので駅近くのホテルのレストランへ。フェアで単品のカキ料理が600円均一なので、2品を注文した。

 細長い形のカキフライをサクッといくと汁がジュッ、と来るかと思ったら来ない。身が詰んだ感じで、歯ごたえもキュッとしっかり目。磯の香りもそれほど強くなく、甘みもほのかで優しくたくさん食べられる味。

 続いて蒸しガキが、ほのかな潮の香りを漂わせながら運ばれてくる。ポン酢でそのままいくとプリッ、ホコッとした味わい。フライ同様潮の香りはほどほどだが、甘みはいくらか立っている。二つ目はレモンを絞ると甘みがさらに立ち、三つ目はモミジおろしでいくときめ細かい舌触りが楽しめる。

 総じて主張が控えめな、奥ゆかしいカキ。汁より身の味を楽しむようで、養殖する湾の環境の特性だろうか。のぞみが停まらず読みも怪しい? 相生の知名度アップのため、ブランドはどんどん主張して売り込んで欲しいものだ。

ローカル魚でとれたてごはんbyFB…広島・三次 『むらたけ総本家』の、ワニ料理

2012年03月10日 | ◆ローカル魚でとれたてごはん

 浜田と湯来温泉のミッション終了後、再び山間部へ向かい三次で1泊した。盆地を埋め尽くす霧で有名なこの街で、お目当てはワニ料理だ。
 ワニといってもサメのことで、山間で鮮魚が希少なこの地で貴重なシーフード。スーパーでワニ肉が売っているほどで、生活にも根付いた魚食文化なのだ。

 いただいた「むらたけ総本家」では3品をオーダー。ワニの梅肉シソはさみ揚げは鳥のササミの繊維を細かくしたようで、ホロホロほぐれていくが繊維の一本一本には味を感じないほど淡白。
 ワニのつくりは薄いピンク色がカジキマグロやビントロのよう。食べてみるとキメが荒くざっくりした食感で、赤身の魚の旨味も脂の甘みもなく、無味無臭な刺身。ワニの串焼きはほぼ純白の白身で、身のほぐれがよくしっとり。

 使っているサメは主に浜田港で水揚げされたもので、ネズミザメという小柄なサメが味がいいそう。淡白なのでたくさん食べられるとも言われたが、単調な分ちょっと飽きてしまうか。
 刺身用は鮮魚、焼き物や揚げ物は活魚を使っているそうで、逆かと思ったら生簀で観賞用にしばらく泳がせてから食べるから、とのこと。「今日食べた焼き物は、先日までそこで泳いでいたよ(笑)」

 サメは消化器が未発達で体内にアンモニアがたまりやすく、それが腐敗を防ぎ山間へ時間をかけての輸送に向いていたという。今では高速道路が縦横に発達し、三次は山陽山陰をつなぐ交通の要衝だ。
 だから品書には浜田港や蒲刈島などの魚を使った料理が並び、山の中ながら日本海と瀬戸内の魚がともに味わえる。今では魚食を楽しむには、かえって贅沢な立地かも。

旅で出会ったローカルごはんbyFB…広島・湯の山温泉 『森井旅館』の、朝食

2012年03月06日 | ◆旅で出会ったローカルごはん

 広島の奥座敷・湯来温泉へは市街からクルマで1時間ほど。公共の宿「湯来ロッジ」に宿泊し、翌朝はクルマで10分ほどの湯の山温泉を散策した。湯来温泉よりも標高が高く、かつては避暑地として企業の保養所や別荘があったが、今は旅館民宿で2軒ほどが、静かに営業している。
 石灯籠が並ぶ温泉街は、奥の湯の山明神の参道にもなっている。宿の跡の空き地がポツポツ目立ち寂しいが、かつては屋根でも軒でもいいから泊めて欲しいというほど賑わったこともあるとか。浅野公の御前湯だったことから、人気があったともされる。

 湯の山温泉の源泉は温泉街奥の斜面にあり、鳥居をくぐり石段を登ったどん詰まりに、湯の山明神の祠が立つ。中には温泉の発見にまつわる丸石「湯の玉」があるが、伝説では4つなのになぜか3つしかない。温泉を示して光った後ひとつだけ飛散した、との説もあるがそりゃドラゴンボールでは(笑)。
 手前には江戸期に、広島藩主浅野吉長公が利用した浴場が残っている。木造の湯小屋に岩の湯船があり、温泉街や向かいの山を望むロケーション。さぞや気持ちいい入浴だろうが、あいにく現在は使用不可。なので立ち寄り入浴は、この直下にある湯の山温泉館を利用することになる。名物は裏の湯元から竹筒で落とす打たせ湯で、4メートルから落とす23度の源泉は効果バツグン。350円と値段も手頃で、湯来温泉とのはしご湯もオススメだ。

 散策後、朝食を森井旅館さんでいただいた。自分の畑や田んぼで栽培した米や野菜を使い、山で取れた食材を用いるなど、地場の食材にこだわった料理が朝からうれしい。味噌汁の味噌も自家製で、きな粉餅もヨモギを刻んで入れ自家製でついたもの。
 宿の前には自作の足湯も用意してあり、上流からひいた水で水車が回る。
女将さんによると、あたりは猿は普通に出没し、この時期から「下手くそな(笑)」ウグイスが鳴き、コテージそばの木に見える位置でアカゲラが木をつついたりするなど、自然がかなり身近に感じられるという。

 清流の湯来温泉に対し、山の湯風情が売り。市内中心部からわずか一時間でこんな湯をいただけるとは、広島市は実に懐が深い。加えて大温泉街にないこうした素朴なもてなし。旅館数は減ってしまったが、こうした積み重ねがリピーター獲得につながるはずだ。


ローカル魚でとれたてごはんbyFB…浜田 『かよちゃん食堂』の、朝定食

2012年03月05日 | ◆ローカル魚でとれたてごはん

 島根県の浜田市を訪れ、朝4時起きで浜田魚市場の水揚げを見学した。長崎や境港、八幡浜に並ぶ西日本屈指の水揚げ額を誇り、この時期は底引き網がメイン。競り場を覗くとノドグロ、カレイ、カワハギ、アンコウ、カナガシラ、アマダイなど、様々な色や面構えの底魚がズラリ。この日はマフグが大漁で、鏡餅のような白い腹を上にして並んでいる。

 魚種も豊富だが、座布団のようなカレイ、優勝力士がぶら下げるような真鯛など、大きさのでかいこと。近くが暖流と寒流がぶつかる潮目で、栄養分が豊富だから浜田の底引き網の漁獲は大きいそうだ。

 ここのセリは「懐セリ」といい、仲買人の競り値をほかの人に見えないよう、競り人の上着で隠すようにする珍しいスタイル。値がせり上がるのではなく一発勝負のため、緊迫感が半端ではない。端で見ていると内緒話をしているようにも?

 浜田魚市場見学後、仲卸市場2階の「かよちゃん食堂」で、市場の朝ごはんに。朝定食はサバ塩がおかずで、脂ののりが半端なくしたたるほど。これがどんぶり飯にじっとり染み、ガッといくとうまいこと。市場食堂のデフォ定食のおかずにサバが多いのも、分かる気がする。

 これ全品で550円も驚きで、早朝の海そばを散歩してしっかり魚めしは、安くてヘルシーなのがいい。


街で見つけたオモシロごはんbyFB…弘明寺 『みうら亭』の、マグロ中落ち重とマグロユッケ

2012年03月04日 | ◆町で見つけたオモシロごはん

 

 

 自宅最寄駅の隣の駅は、意外に下車して歩く機会ががない。いわば未知の駅、未知の街で、ひょんなことで隣駅・弘明寺に下車したら、坂東三十三箇所札所の観音様や天然温泉の立ち寄り湯など、小一時間ぶらつけばすっかり旅気分に浸れた。
 天然温泉の「みうら湯」でひとっ風呂浴び、門前町で遅い昼飯のつもりが、マグロ料理の貼り紙に釘付けに。湯上りの食事どころ「みうら亭」の自慢らしく、マグロ赤身に中落ち、ネギトロなどいろいろ揃っている。

 日帰り湯は三浦半島の三崎まで路線をのばす京急の施設で、思わぬところで沿線の名物を味わえることに。
 中落ち重にマグロユッケを注文、中落ちは軽くヅケにしてあり赤身のコクが深い。ユッケは韓国風のタレが甘辛く、千切りネギとさっぱりいただける。鮮度がいいから舌触りが瑞々しく、これを肴に風呂上がりの昼酒ホッピーが効く効く。

 駅に戻って電車に乗れば、ミニ旅気分はあっという間に終了。今度は反対側の隣駅にいい湯、いい味を探しに「旅」するのもいいかも