「ご当地ラーメン」という食ジャンルが、最近鳴りをひそめつつある。かつては各地に百花繚乱で、みそ塩醤油とんこつと、全国にならではのラーメンが点在。それを食べにいくのが旅の目的にもなり、古くは札幌に始まり喜多方や旭川、最近だと徳島や尾道、富山など、ご当地ラーメンは旅行ガイドブックには欠かせない情報のひとつだった。
ラーメンマニアの視点はご当地から「ご当人」となり、ご当地グルメの座がB-1グルメに徐々にとって変わり、取材先でも以前ほど「おらが町のラーメン」なる意気込みを感じなくなった気がする。自分のご当地、横浜の家系ラーメンも、あまり食べなくなって久しい。チャーシューなど具だくさんで濃いめのトンコツ醤油は、最近は少々重い。日高屋とか 幸楽苑とか、軽い中華そば系のチェーンを愛用してしまうのは、軽さに加え安いのがありがたいのもあるけれど。
昨日のお昼に訪れた「くじら軒」も、さっぱり中華そば系のラーメンが売りだ。今や各地に展開しているが、ルーツは横浜の人気「ご当人ラーメン」。トンコツベースの家系に対し、こちらは鶏ガラベースのあっさり醤油スープで、麺も平打ちの家系に対して細麺。スープはかつお節や煮干しも使っているから、グルタミンの旨味が濃厚。空腹だったのでつい、パーコーに揚げニンニク載せのスタミナラーメンにしたが、シンプルなラーメンでも十分満足できる味の深さだ。
そういえば最近話題となるラーメンは、爆食ワイルド系よりも塩とか醤油とかさっぱりヘルシー系にシフトしている気がする。当地の常食でもありマニアのアイテムでもあり、旅行者の楽しみでもあるラーメン。ご当地ラーメンご当人ラーメンとも、変化する嗜好に対してまだまだ進化していってほしいものだ。