ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

味本・旅本ライブラリー<1>『魚どころの特上ごはん』上村一真著

2005年08月19日 | 味本・旅本ライブラリー
このカテゴリーでは文字通り、食や旅にまつわるさまざまな本の中から、自分が読んでみて面白かったものを紹介。出かける余裕はないけどちょっとした旅行気分を味わいたい、またこんどの旅でぜひ土地のうまいものを食べたい、といった時に役に立つ1冊となれば幸いです。

その第1冊目は恐れながら…。自著の紹介です(笑)

 函館朝市のカニ屋直伝のうまいカニの見分け方、秋田市民市場で聞いたハタハタの実態、残すところが何もない大洗名物アンコウ鍋、船橋でいただく豊穣な東京湾の幸、イキのいいタコが歩いて散歩する明石魚の棚商店街、ブランド魚・関サバを水揚げ地で探す…。魚はなんといっても、とれた場所で食べるのが一番。鮮度ももちろん、とれた土地には古くから、おいしく食べる方法が伝わっているということもあるでしょう。
 この本では、北は北海道・網走から南は沖縄まで、そんな全国55ヶ所の漁港の町・魚料理のうまい店のある町を訪れて、各地の地魚や独特の料理を紹介しています。ブログのサブタイトル「行ってみた、食べてみた、なるほどウマイ!」にあるように、漁師や料理人から聞いたさまざまなうんちくも盛りだくさん。読めばちょっとした「魚通」になれること間違いなし!の1冊です。
 巻頭の口絵には、各地の名物魚料理や各地の有名な市場のカラー写真、さらに解説付きお魚カタログも掲載。当ブログ同様、どうぞよろしくお願いいたします。

というわけで、次回からは選りすぐりのオモシロ旅本・味本の内容紹介をキチンとやっていきます。初回ゆえに、自らの宣伝のお許しを…。

旅で出会ったローカルごはん2…庶民派米沢牛の店、見つけた <米沢牛ホルモン焼き>

2005年08月15日 | ◆旅で出会ったローカルごはん
 当たり前のことではあるが、米沢牛は高い。産地にやってきても、ステーキやしゃぶしゃぶの老舗などやはり高いモノは高い。
 でも、かつて松阪を訪れたとき、ステーキハウス三松や牛銀など全国的に知られる名店がある一方、繁華街を歩けばひと皿数千円程度の焼肉屋や、何と松阪牛のホルモン焼き屋なんてのもあった。米沢でも試しに探してみたところ、あった!米沢牛焼肉とホルモンの店が。
 松が岬公園のそばのホテルから歩くこと15分ほど。日が暮れて人気のなくひっそりした住宅街の中に、目指す「酒童(しゅっぱ、と読む)」を見つけた。赤提灯が下がって、外観は見たところ普通の民家である。そして通された客席も、まるで人の家の座敷。客は100%地元で、炭火コンロの煙がもうもうと立ちこめる中「んだ」「だっぺ」など、やたら濁点と丸がついた山形弁が飛び交っている。
 米沢牛は赤身特上と上カルビがあり、思い切って特上を注文。ほか、ご主人が日本一と自慢する「白ホルモン」も頼んだ。卓上には炭火コンロが置かれ、これで自分で焼いて食べる仕組みで、まずは米沢牛肉から火にかける。肉厚で、くっきり紅と白のマーブル模様が実に見事だ。すぐに炎が立つが、程良く脂が落ちるぐらいにさっと軽く焼くのがポイント、とご主人。舌にのせるととろけ、甘みがバッと広がり、かむと肉汁がジュッと思わず絶句。焼き方が少々難しく、炎が上がる直前にひっくり返し、さっとあぶってまだほんのり赤いぐらいで食べるとベスト、と分かった頃には、残りわずか1切れ…。 
 米沢牛がどんどん焼き上がる分、白ホルモンはしっかりと焼けるまで時間がかかり、くるりと丸くなったら食べ頃。コリコリとしてやや獣肉ならではのくせがあるが、これがなかなか後を引く。豚の腸を4時間かけてしっかり洗ったもので、鮮度がいいから臭みがまったくなく、豊かな食感が自慢とご主人。東京の綾瀬で修行したとのことで、ちょくちょく座敷に顔を出しては地元客と盛り上がっている。
 中継ぎに野菜たっぷりのサラダ冷や奴をつまみ、地酒「東光」の冷酒をグイッ。ついでにレバーもひと皿平らげて締めくくった。「米沢牛は名物だけど、有名店はちょっと高いよね。探せばうちみたいに、手頃に食べられるとこもあるのに」。ご主人の言う通り、これで4000円ちょっとはまさに激安。昼飯の米沢牛ラーメンともども、労を惜しまず探せば、名物にウマイもの、安いモノありである。(2005年4月16日食記)

旅で出会ったローカルごはん1…米沢名物同士の絶妙コラボ <牛肉ラーメン>

2005年08月14日 | ◆旅で出会ったローカルごはん
 米沢名物といえば、日本屈指の銘柄牛である「米沢牛」と、細い縮れ麺にあっさり醤油味スープが特徴の「米沢ラーメン」。米沢を訪れる機会があり、いずれもぜひ味わってみようと思ってはいたが、まさか同時に味わうことになるとは…。
 昼食に訪れたのは、松が岬公園(米沢城跡)の近くにある「きよえ食堂」。古い大衆食堂風の店で、暖簾をくぐると壁にはずらりとメニューが貼られている。氷がゴロゴロ浮かんだ冷やしラーメンに、マヨネーズをかけていただく冷やし中華と、山形独自の名物料理?に並び、「うちの自慢は牛肉ラーメン」と店のおばさん。聞くと、醤油スープのラーメンの上にシメジ、ネギと牛薄切り肉がたっぷりのるという。そして肉は何と、米沢牛とのこと。
 ここは地元で評判の米沢ラーメンの店で、手もみの縮れ麺に、井戸水をベースにした醤油味のスープが基本という。運ばれてきた牛肉ラーメンは、塩コショウで味付けした米沢牛がたっぷりのっていて、まず肉からひと切れ。さすがに柔らかく、旨みたっぷりでこれはうまい。脂身もこってり甘く、米沢牛のすき焼き肉をのせて食べているような贅沢さだ。スープが後をひく香りで、飲むと口の中で旨みがふわりと広がり、香りと後味がずっと舌に残る。麺は米沢ラーメンの特徴である、素麺がちぢれたような極細で、ほくほくと柔らかくスープのからみがバツグン。まるでラーメンとは別の麺料理のようだ。
 支払う時に、スープがうまかったとおばちゃんに話すと、「米沢は水、特に湧水がいいからね」。醤油は地元で醸造したものをつかっているという。米沢牛とラーメン。一見奇をてらったようだが、ラーメンはもちろん、肉のうまさも、醤油の良さがあってうまくまとまっているのだろう。(2005年4月16日食記)

旅で出会ったローカルごはん・前書き

2005年08月14日 | ◆旅で出会ったローカルごはん
 仕事柄、日本中あちこちに旅に出ます。最大の目的は、何といっても食べること。訪れた先で出会った特産の食材、それをつかった名物料理を味わえば、旅の喜びもまたひとしおです。
 このカテゴリーでは、各地へ出かけて見つけた、ご当地ならではの料理を食べた感想をはじめ、料理人や生産者に聞いたおもしろ話やうんちくを紹介しています。もちろん豪華な料理に限らず、その土地ならではの郷土料理やローカルフード、お菓子や酒など、とりあげる「食」は全国様々。
 とりあえずここ1~2年で訪れた情報を順次書き込んでいき、出かけることがあればその情報を随時掲載していきます。また紹介した料理について、さらにご存じのことがありましたら、よろしくコメント下さると幸いです。

極楽!築地で朝ごはん3食目・はいばら ~朝からウナギでパワーUP!~

2005年08月14日 | 極楽!築地で朝ごはん
 今日も東銀座駅から、朝の晴海通りを市場へ向けて歩いてくる途中、早足で会社へ急ぐサラリーマンにどんどん抜かれていく。朝早くからご苦労様、自分はこれから、空いてる築地でのんびり朝食…なんて、築地通い4日目にしてようやく余裕、というか少々「通」ぶっているか?
 いつものように築地4丁目交差点を渡り、いざ場外へ。早起き続きで今朝はちょっと朝がつらかったので、ひとつ元気が出る朝ご飯といきたい。すると築地中通りで店頭でウナギを焼いている店を見つけ、煙に誘われて暖簾をくぐった。朝からウナギとは、何という贅沢!。この「はいばら」は、ウナギを扱う商社がやっている食事どころだけあり、各地から厳選されたウナギの品の良さには定評があるという。
 蒲焼きは自家製で、店頭の一角で焼いているため、そこから料理が運ばれてくる。うな肝丼にはウナギの蒲焼きに加え、たっぷりの肝焼きの串が一本丼にのっているのがうれしい。蒲焼きは一度蒸してからタレにつけながら焼いてあり、身は厚く、蒸してあるがくずれない程度に柔らかい。タレは甘め、脂が少な目であっさりしているから、朝からでもどんどん食べられる。そして肝の濃厚な味わいといったら。ねっとり、こりこりしていてほんのり苦みがあり、いかにも体によさそうだ。
 店を出て、1本100円の安売りウーロン茶を見つけてのどを潤す。まだ土用の丑の日には早いが、すでに夏日の日も多く暑くなりそうだ。近いうちにまた、ウナギの朝ご飯のお世話になるかも知れない。(2004年5月14日食記)